
同協議会は、大規模で広域的な災害発生を想定した地域継続計画(District Continuity Plan:DCP)の策定と、DCPの視点から企業などが策定する事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)の見直し・改善を図ることなどを目的に、2012年5月に発足した。国や香川県、高松市、香川大学、経済団体、民間企業などが参加している。事務局的な機能を担う香川大学は、16年に「四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構」を設置し、活動を推進してきた。
今回のシンポジウムでは協議会の活動を報告するとともに、パネルディスカッションを実施。昨年7月の西日本豪雨で地域が浸水し、避難所となった倉敷市立薗(その)小学校の校長・高津智子さんが体験談を話した。同小学校では児童の6割が自宅の浸水などで被災。教職員の自宅にも被害があった。
雨が降り出した7月6日に、市職員とともに小学校の体育館に避難所を開設。体育館はすぐさま満員になり、教室も開放した。避難してくる地域住民の車で周辺は渋滞が発生。食料の不足や断水などの問題も生じ、対応に追われた。高津さんは「大雨警報が出ても『晴れの国おかやま』がまさか、と思っていた。学校の防災マニュアルは策定していたが、想定以上のことが起こり、行政や地域の方ともっと考えておくべきだった」と話した。
豪雨以降、薗小学校では避難訓練の実施方法を変更。それまではサイレンを鳴らして一斉に避難場所に集まるというものだったが、まず座学で「災害とは何か」を学ぶようにした。「一人でも逃げられる、家族に逃げようと話せる子ども」の育成を目指しているという。学校防災マニュアルも見直し、地域住民と共有している。
このほか、松山市高浜地区や丸亀市土器町の自主防災の取り組みについても、地域の代表者が紹介。香川大学地域強靭化研究センター長の金田義行さんは「地域で何を目指すかを考えることが大切。ワンチーム、one for all,all for oneのような精神でDCPに取り組まなければならない」と話した。
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