職人の技術で庵治石に絵を描く

サンドブラスト加工を応用/二宮石材

Topic

2019.11.21

庵治石に彫った葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」

庵治石に彫った葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」

二宮石材(高松市)は、研磨の手法の一つである「サンドブラスト加工」を使って、庵治石のオリジナル商品を生み出している。

同社は代表取締役の二宮力さんが石材加工の修業を経て、1993年に設立した。「人がしないようなことに挑戦したいといつも思っています」と二宮さん。

サンドブラストは、砂やガラス、金属などの研磨剤を圧縮空気に混ぜて吹き付け、表面を削る。石材だけでなく鉄工や鋳物、ガラス工芸などでも使われる技術だ。石材加工業では主に、墓石に文字を彫るときに使われている。二宮さんは文字を彫るだけでなく、サンドブラストを使って庵治石に絵を描く。

きっかけになったのは2016年。まんのう町出身の漫画家・寺嶋裕二さんの『ダイヤのA(エース)』の原画を庵治石に彫ってほしいという依頼を引き受けたことだった。約1年かけて制作し、寺嶋さんの原画とともに個展で展示された。

庵治石は、高松市の牟礼・庵治の両町から算出される花崗岩。きめ細かな石肌は風化しにくく、磨くほどにつやが出て「花崗岩のダイヤ」ともいわれる。サンドブラストで絵を描くのは、研磨剤の種類や吹き付けるノズルの太さ、彫りの深さなどの調整が難しく、熟練の職人だからこそできることだという。彫る深さを変えて陰影を出すほか、彫った箇所に着色もできる。

ダイヤのAの原画展の後、オリジナル商品を作れないかと考えたのが、浮世絵だ。「日本の銘石に日本の名画を描いてみたい。庵治石に浮世絵が合うと思ったんです」。モチーフを葛飾北斎の富嶽三十六景に決めたが、納得のいくものができるまで何百枚と彫った。完成品は現在、東京の六本木ヒルズにあるホテル「グランドハイアット東京」で展示されている。
ヤドンのコースターも手掛ける

ヤドンのコースターも手掛ける

香川県とポケットモンスター「ヤドン」のコラボレーション企画「ヤドンパラダイスin香川2019」のグッズも手掛ける。庵治石にヤドンを彫ったコースターとペーパーウェイトだ。

アパレルのビームスが「日本」をキーワードに商品を集めたショップ、東京・新宿の「BEAMS JAPAN」でも、11月20日から二宮石材が加工した庵治石が販売されている。

二宮さんは「庵治石は200年も300年も残り、彫った文字も崩れません。磨き直せば新品同様になる。世界に二つとないすばらしいものです。庵治石の魅力と職人の技術を多くの人に知ってほしい」と話す。
「カップラーメン専用のフタ」というユニークさが受けて採用になった、  BEAMAS JAPANで販売される商品。大・中・小の3種類ある

「カップラーメン専用のフタ」というユニークさが受けて採用になった、

BEAMAS JAPANで販売される商品。大・中・小の3種類ある

株式会社二宮石材

住所
香川県高松市牟礼町牟礼3195‐1
代表電話番号
087-845-3875
設立
1993年創業
事業内容
石材加工
地図
URL
http://ninomiyasekizai.com/
確認日
2019.11.12

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ