ただし「刺繍した生地の上からプリントすればいいという単純な話ではないんです」と代表取締役社長・細川道隆さんは言う。難しさの理由は、生地の収縮率にある。布は刺繍を施すと引っ張られることで縮む。収縮率は布の厚さや、糸の太さ、縫い目の数、長さ、方向によって変わるため、刺繍部分とプリントの色がピタリと合うことはほとんどない。わずかな誤差をうめるため「10回以上調整することもあります」と企画マネージャー・小出里央さん。手間はかかるが、刺繍だけでは表現できなかった微妙な色合いやグラデーションを再現できるのが特徴だ。せと刺繍で描かれた花や木々には躍動感がある。
「刺繍の可能性を広げることが、私たちの存在意義。メーカーから受けた注文を生産するだけではなく、自分たちの新たな商品を作りたかった」と言う細川さん。同社では、せと刺繍を施した生地「せと刺織り」をブランド化。バッグや名刺入れ、財布などの製品にしてオリジナル商品として販売している。
お問い合わせ:TEL.087・868・3600
HP:http://www.emb-factory.com/
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