精度の高い加工技術で、新分野に挑戦

水銀ターゲット容器 香西鉄工所

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2018.07.19

水銀ターゲット容器

水銀ターゲット容器

手掛けてきた製品は、トラッククレーンのジブ(クレーン部の竿の部分)や旋回台本体のフレームといった建設機械のほか、ロボット、発電機器など精密さが必要なものばかり。その技術力が評価され2007年、日本原子力研究開発機構から中性子を人工的に発生させる装置「水銀ターゲット容器」の製造を依頼された。

中性子は医療や原子力、生命科学の分野での応用が期待されている。依頼を受けた当時は、水銀を使って中性子を発生させる装置がまだ日本になく、製造には高度な技術が必要。名だたる大手も受注をためらうほどだった。しかし「ものづくりを通して喜びと感動を、がうちのモットー。不安だらけでしたがチャレンジしたいと思いました」と代表取締役社長・香西薫さんは言う。

依頼主からの設計図はあっても、製造は困難をきわめた。公差(※)の厳しい条件のもと、使用する特殊なステンレス鋼は鉄に比べて加工しづらく溶接する時の熱でゆがみが出やすい。しかも、鳥のくちばしのように先端が細い複雑な形状の部品を3層重ね、それぞれの層の間隔をわずか3ミリに保たなければならない。そこで、ゆがみを想定しながら加工を行うほか、各工程に合わせて大量に製造した計測器を使いながら、差を許容範囲内に収める繊細な作業を行った。
作業風景

作業風景

「過去にも様々なチャレンジをしてきた中で、水銀ターゲットは代表的な製品。予期せぬことが次々と起こりましたが、それがものづくりの楽しさ。製造を経験した社員たちの技術が大きく向上したことも収穫でした」と香西さんは言う。この実績で、会社の認知度も上がり、原子力分野で関連企業などからの発注が寄せられている。

【問い合わせ】TEL:087-843-1177
【HP】http://www.kozai-iron.co.jp/

(※)公差=許容できる最大の大きさ(最大許容寸法)と、最小の大きさ(最小許容寸法)の差。差が小さいほど仕上げるのが難しい。

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