武漢に45拠点を展開

日系企業の武漢・中国全土への進出状況調査 東京商工リサーチ

Research

2020.02.20

中国・武漢市が発生源とされる新型コロナウイルスの感染が世界に拡大している。武漢に進出する企業や日本国内の観光業への影響を懸念する声も上がり、日本国内の経済活動にも支障を及ぼしかねない状況になりつつある。

東京商工リサーチ(TSR)が保有する国内企業データベース(380万社)とDun & Bradstreet(ダンアンドブラッドストリート、本社・米国)が保有する世界最大級の海外企業データベースを活用し、日系企業の武漢と中国全土への進出状況を調査した。

※Dun & Bradstreetの「WorldBase」とTSRが保有する企業データベースを活用。「WorldBase」より武漢と中国の事業拠点(以下、拠点)をそれぞれ抽出し、拠点を管轄する企業の支配権(議決権・所有権)が50%超有している企業を特定した。特定された企業がグループの頂点企業でない場合、同様の方法でグループ最上位企業を特定。特定されたグループ最上位企業が日本に所在する場合を、日系企業と定義した。支配権が50%以下の場合、集計対象外。

中国進出 香川は11社

日本から武漢には39社が進出し、拠点は45カ所を展開していることがわかった。業種は輸送機器製造が最も多いが、耐久財卸や運輸・倉庫業など多岐にわたる。

また中国全土には1,891社の日系企業が進出、4,380拠点を展開し、産業別では製造業が最多。香川からは11社が進出している。進出企業の新型コロナウイルスの影響で中国経済が停滞した場合、自動車など日本経済をリードする日系企業にも影響を及ぼしかねない。

産業別 製造業が半数占める

武漢の日系企業45拠点のうち、産業別の最多は製造業の22拠点だった。自動車や同部品、大手電機などの有力メーカーが武漢に製造拠点を構えている。次いで、卸売業、サービス業と続く。一方、中国全土に進出している日系企業は4,380拠点。最多は製造業で半数を占めた。

製造業は、安価で豊富な労働力、そして大きな成長性を秘めた中国市場を狙い、生産拠点を中国に求めたケースが多い。

輸送用機械器具製造業が最多

産業を細分化した業種別でみると、武漢の拠点の中で最多は「輸送用機械器具製造業」の12拠点(構成比26.6%)。次いで、「卸売業(耐久消費財)」の9拠点(同20.0%)だった。中国全土では、最多は卸売業(耐久消費財)の716拠点(構成比16.3%)だった。自動車や電機の大手メーカーが中国市場を重要視していることが窺える。次いで、情報処理サービスや広告代理業などの事業関連サービス業の456拠点(同10.4%)、電気機械器具製造業の415拠点(同9.4%)だった。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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