プロジェクトチームの名前はLUCCA LOOCA(ルッカルッカ)。LUCCAはオリーブの品種名で、LOOCAは「ローカルなおじさんたちがオリーブで作る家具」という意味を込めて考えた言葉だ。香川県家具商工業協同組合から家具メーカー6社が参加している。メンバーは20~40歳代の次期経営者が中心で、代表の石田剛志さん(52)が最年長だ。
始まりは4年前、香川らしい家具を作ろうと同組合でオリーブ家具プロジェクトを立ち上げた。オリーブの剪定作業で出た枝を使おうと小豆島まで行ったが、どの枝も細く曲がっており、大きな家具を仕立てるのは難しかった。そこでオイル塗装にヒントを得て、仕上げにオリーブオイルを使うことに。県産のスギやヒノキで作った家具にオリーブオイルを塗って、オリーブ家具として売り出した。
展示会に並べると多くの人の目を引いた。けれど「オリーブの木じゃないの?」そんな声が多く返ってきた。「これはお客さんからもらったチャンスだと思いました。難しいけれどオリーブの木で何か作ってみようと。家具は父親世代が作ったので、雑貨は息子たちが挑戦することになりました」
いざ商品作りを始めると、オリーブは普段扱い慣れている木材とはまるで違った。人工乾燥機で乾かすと変色し、自然乾燥の時間が長いと変形してしまう。糸鋸で数十本切ると刃に油分が付き、連続して作業出来ない。材料が手に入るのは、年に1度の剪定作業の後だけ。オリーブの木もオイルも小豆島産だから数が限られる。
試行錯誤しながら6社それぞれの技術を生かして、これまで食器やカッティングボード、指輪などを作った。材料の形や木目が違うため、一つとして同じ雑貨はない。同じものをたくさん作るのではなく、その材に適したものを削り出す。サンドペーパーで磨き、オリーブオイルを塗って仕上げると、しっとり手になじむ。手触りの良さがオリーブ雑貨の特長だ。
「加工に手間はかかるけれど、やる価値はある。作り方も売り方も自社とは違うので、新しいチャンネルが出来たように思います。丈夫なので手入れしながら長く使ってほしいですね」。県内では高松市のIKUNASで購入出来る。現在、インターネット販売の準備も進めている。
月に1~2度、全員が集まり、それぞれが新しいアイデアや商品見本を披露して、アドバイスし合う。チーム最年少の中村悠資さん(25)は「いつも作る大型家具とは違う作業が出来るので、仕事の幅が広がります。自分の作ったものが店頭に並ぶ、その光景を見るのがうれしい」と話す。
「LUCCA LOOCAをきっかけに若手の活躍の場が広がれば。お客さんに『こんなことも出来るんだ』と思ってほしい」と石田さん。オリーブは平和と実りを意味すると言われる。LUCCA LOOCAはまさに職人たちの努力が結実したものだ。それは、若手家具職人が進む新しい道の旗印となる。
石田 剛志 | いしだ たけし
- 1963年4月 高松市生まれ
1981年 株式会社カトミ 入社
2011年 株式会社カトミ 代表取締役 就任
2015年 香川県家具商工業協同組合 理事長 就任
- 写真
LUCCA LOOCA
- 住所
- 香川県家具商工業協同組合
高松市今里町7番16号2F あしたば会計事務所内
TEL:087-813-8874 - info@luccalooca.jp
- URL
- http://luccalooca.jp/
- 確認日
- 2018.01.04
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