まちの魅力は人

なえどこ 代表 井上 なつみさん

Interview

2015.12.03

ミーティングを見ていると、楽しそうで仲間に加わりたくなってくる。ランチを食べながら遊びに行く相談をしているような雰囲気で、会は進む。ホワイトボードには夜教室、先輩としゃべる会、県知事と話そうなどの言葉が並び、メンバーからは役割分担やイベントの企画について、アイデアが次々と出てくる。

なえどこは香川大学経済学部にある学生団体の一つで、井上なつみさん(21)は2代目の代表を務める。「進める流れを作ったら、みんなが意見を出してちゃんと形になっていく団体です。それぞれ独特の発想ですね。メンバーのこと、すごく好きなんですよ」。経済学部内には、学生が自主的に運営する団体やプロジェクトが多数ある。井上さんは2年の時に、メンバーを募集していたなえどこに参加した。
メインの活動は「夜教室」と名付けたイベントだ。月に1~2回、高松商工会議所の協力で講師を招き、講演会やワークショップを開催している。デザイナー、盆栽作家、伝統工芸士、出版社経営者・・・講師の顔ぶれは多彩だ。「学生を苗に見立てて、気軽に学んで成長出来る場を授業外でも作ろうというのが、なえどこの趣旨です」

夜教室の参加者は学生だけにとどまらず、毎回盛況だ。「先輩がしっかり下地を作ってくださったので、私たちも活動出来ています。先輩方は意見を全部『それいいね』って肯定してくれたので。その雰囲気づくりが良いと思って本当に尊敬しています」

毎月担当を決め、担当者を中心に講師の選定や依頼、打ち合わせ、告知などを行う。メンバーの人脈や情報網を生かして、講師を決めていく。「面白い人は、そこに行ってみたらいたという感じです。自分が動けばそこから開けてくると言うか。誰かと知り合いになったらまた紹介してもらえるという連鎖が多いですね」。自分たちで考え、企画し、運営する活動の楽しさを心から感じている。

「団体同士のつながりが出来たらいいなと思って、私たちの代が入ってからは学生プロジェクトの交流会を開催しています」。他にも井上さんが実現したい企画がある。経済学部内にある学生団体を紹介する冊子を作ることだ。活動に参加したいと思っても、どの団体がどんな活動をしているのか分からない。活動内容を把握出来るものがあればと感じた自身の経験から思い付いた。

1年間温めてきた企画が、来年の入学式までには形になりそうだ。冊子のターゲットは高校生と新入生。「面白い先輩がいるんだとか、楽しそうだから香川大学に行ってみたいと思ってもらえる内容にしたいですね」

井上さんが企画や運営の面白さに目覚めたのは、中学で運動会の実行委員を務めた時だ。「イベントを作ったり、何かを発信したりするのがすごく楽しくて。自主的っていうのが好きです。こんなことやってみようと思ったときに、パッと動きたい」。自分のやってみたいことは、地域活性化とリンクしていると感じている。

今年、山口県・周防大島の定住促進協議会でインターンを体験した。3週間滞在し、女性の移住者に対して子育てや教育に関するヒアリング調査を行った。「観光は思い出づくり、定住促進は人生をつくるもの」。協議会の担当者から言われた言葉が印象に残っている。「私が住みたいと思うまちは、面白い人がいるところ。そこに住んでいる人とどう関係を築いていくかが大切で、まちの魅力は人だと思います」

香川で生まれ育ち、このまま香川で暮らしたいと思うが、一度外に出てみたいとの気持ちもある。「その土地に住み続けることで自分のやりたいことが出てくると思います。住み続けて面白いことをしていたら、人を呼び込むことも出来るんじゃないかな」。大学が苗床となり、たくさんの新芽がすくすくと育っている。その成長はまばゆいばかりだ。

井上 なつみ | いのうえ なつみ

1994年4月 まんのう町生まれ
写真
井上 なつみ | いのうえ なつみ

香川大学経済学部 地域連携学生委員会・なえどこ

メンバー
11人
MAIL
trg.naedoko@gmail.com
確認日
2018.01.04

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