高齢者が寄り添って 地域を元気にする「会社」

株式会社山南営農組合 代表取締役 阿部 泰人さん

Interview

2022.05.05

阿部さん(中央)とメンバーの皆さん

阿部さん(中央)とメンバーの皆さん

三木町の南端、小蓑地区。山間の田園風景に溶け込む1軒の古民家には、「昭和の宿こみの」の看板が掛かっている。昔ながらの農家の暮らしを体験できる「農泊」施設として、同地区で2020年10月にオープンした。

土間のかまどや薪で焚く五右衛門風呂のある宿泊棟は、地域の人たちの手でリノベーションしたもの。地元産の猪肉や野菜でバーベキューを楽しむ野外施設もあり、「いつもと違う時間の流れを味わえる」と人気を呼んでいる。少し北に位置するもう1棟の「せせらぎの宿里山」とともに、リピーターも多い。
古民家の風情漂う農泊施設

古民家の風情漂う農泊施設

運営母体は山南営農組合。04年、高齢化と人口減少が進む中で「農家が寄り添ってふるさとの農村を守ろう」と、同地区に暮らす約50戸が地域ぐるみで立ち上げた集落営農組織だ。宿泊施設開設に伴って、20年7月に法人化した。

日曜のみ営業のレストラン「どんぐりころころ」を運営する農村レストラン部会、以前は害獣として駆除するだけだったイノシシを名産品として活用する山南猪肉市場部会、農業体験やタケノコ掘りなどのイベントで地区を盛り上げるグリーンツーリズム部会をはじめ、現在11部会が活動中。年齢にかかわらず一人一人が知識や技術を生かして活躍できる場所であり、全員が何らかの部会に所属して、活動の利益で機材や設備を充実させながら「家族」として助け合っている。
自慢の農作物や加工品を販売中

自慢の農作物や加工品を販売中

阿部さんは、「山南営農組合」・宿泊施設運営担当「株式会社山南営農組合」・農事組合法人「チーム虹」の三本柱で展開している地区内の活動を、いずれは統合するビジョンを持っている。「小蓑はかつて子どもたちが『こみの株式会社』を通じて地産地消と経済学習に取り組んだ地域。大人も負けていられませんよ。25年を目標に、高齢者が寄り添う『こみの株式会社』を立ち上げようと思っています」

今年4月、農産物加工場が新たに完成した。地域で採れた農作物や遊休地を利用して育てた果物を加工品として販売する取り組みは以前から行っているが、拠点が完成したことで六次産業化が大きく進む見通しだ。加工場では香川大学の学生が「農村カフェ」もオープン。阿部さんは「約20年活動を続けてきて、地域がまとまっているからこそできること」と力を込める。「小蓑地区の人たち、三木高校や香川大学の学生、そして山のイノシシまで協力してくれている。つながりを生かして、活動を充実させていきたいですね」

戸塚 愛野

山南営農組合株式会社

住所
香川県木田郡三木町小蓑928番地1
設立
2004年6月
略歴
2004年 6月 設立
2020年 7月 山南営農組合株式会社設立
2020年10月 農家民宿開始
2022年 4月 農産物加工場完成
2022年 5月 農村カフェオープン
地図
確認日
2022.05.05

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