平均年齢61.45歳、過去最高を更新

2017年全国社長の年齢調査 東京商工リサーチ

Research

2018.03.01

2017年の全国社長の平均年齢は、前年より0.26歳延び61.45歳となり、調査を開始した09年以降で最高年齢を更新した。団塊世代の社長交代が進まず、高齢化が一層顕著になった。また、減収や赤字などの業績悪化と社長年齢を比較すると、業績悪化と年齢上昇に一定の相関があることもわかった。社長の高齢化や後継者難は、ビジネスモデル革新や生産性向上への投資意欲を抑制し、業績悪化に拍車をかけているようだ。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(316万社)から代表者の年齢データを抽出、分析した。前回の調査は17年2月。

70代以上の比率上昇

社長の年齢分布は、60代の構成比が31.98%で最も高かった。70代以上は26.18%となり、調査開始以降、最も高い構成比となった。一方、30代以下は3.22%にまで落ち込んだ。

70代以上 減収・赤字がワースト

社長年齢と業績の関係では、70代以上は「減収」、「赤字」の割合が最も多い。「連続赤字率」も10.7%に達し、社長が高齢化するほど業績に負の影響を与えていることがわかる。
東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

最高は高知の63.54歳

平均年齢の都道府県別のランキングでは、トップは高知の63.54歳で、前年の63.21歳から0.33歳上昇した。次いで秋田の63.36歳、岩手の63.17歳の順。四国では徳島が61.97歳で18位、香川が61.92歳で19位、愛媛が61.16歳で37位だった。最も低かったのは大阪の60.20歳。

2月6日に閣議決定された「産業競争力の強化に関する実行計画(2018年版)」は、「事業承継の集中支援」について初めて明記した。向こう10年間を事業承継の集中期間として年間5万件の事業承継診断の実施や、事業引継ぎセンターでの支援を通じたM&A等の目標を年間2,000件として掲げた。また18年度税制改正大綱では、事業承継税制を拡充し株式譲渡に伴う相続税の10年間猶予を打ち出している。

高齢化が進む社長(代表者)の事業承継を促す政策としては第一歩と評価されるが、今後は中小企業の現場目線に合わせた支援策も現実的な課題になるだろう。ただ、社長の若返りにはこうした支援策に依存するだけでなく社長の意識改革も欠かせない。事業承継税制に実効力を持たせるには、社長資産と一体となった会社資産の明確な分離や、経営に活用している個人資産や会社借入の連帯保証などの負債を企業に寄せることも必要だろう。
東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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