見えない損傷 赤外線カメラが見つけ出す

次世代赤外線調査サポートシステム Jシステム NEXCOエンジニアリング四国

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2018.03.01

Jシステムによる点検の様子(一部加工)=高松自動車道

Jシステムによる点検の様子(一部加工)=高松自動車道

高速道路の橋梁などの保全管理を行うNEXCOエンジニアリング四国が開発した「Jシステム」。コンクリート構造物の表面温度を赤外線カメラで測定、熱画像の温度分布から内部に潜む空洞や剥離などの損傷を見つけ出す最先端技術による検査システムだ。

Jシステムの最大の特長は「非破壊」。構造物の点検と言えば、人による目視と、直接ハンマーで叩いて音の変化で空洞などを見つける「打音検査」が一般的だ。しかし、道路や橋は高さが数十メートル。大掛かりな足場を組まなければならず、膨大な時間と労力に加え、多額の費用が必要だった。
赤外線カメラによる解析画像。 構造物の状態を瞬時に表示

赤外線カメラによる解析画像。
構造物の状態を瞬時に表示

高感度赤外線カメラを使うJシステムでは、約90メートル先の構造物を離れていながら“破壊せずに”点検できる。損傷が疑われる場所に絞って打音検査などを行えば省力化に繋がり、交通規制も不要。打音のみの点検に比べ、費用も約2割削減できる。測定したデータは解析ソフトでリアルタイムに分析。損傷の程度によっては、すぐに補修が必要だとその場で判断することも可能だ。
左:赤外線画像から損傷を検出(赤:要注意、黄:注意、青:観察) 右:コンクリート剥離部分を撤去

左:赤外線画像から損傷を検出(赤:要注意、黄:注意、青:観察)
右:コンクリート剥離部分を撤去

国土交通省はコンクリート構造物の点検について、これまでは「打音検査」を原則としていた。しかし、Jシステムによる点検の精度や効率に注目。新技術採用の方針を打ち出し、昨年9月からはJシステムを試験的に使った点検作業を全国の国道でスタートさせている。

高度成長期に集中して造られたコンクリート構造物はこれからメンテナンスの時代に入っていく。エンジニアリング四国では、一般社団法人赤外線画像診断研究協会を設立し、点検の精度を保証するため、Jシステムを購入した企業向けに操作指導を行うなど体制も整備した。

エンジニアリング四国営業部の大井信吾副部長は「Jシステムの良さを展示会や研修会など各方面でアピールし、効率化できる新たな点検手法を浸透させていきたい」と“非破壊検査”普及への意気込みを語る。

【HP】http://www.w-e-shikoku.co.jp/

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