介護の専門家と利用者、両方のニーズを形にする

シコクの介護用手すり「U-ケア」

Cha✕Cha

2022.05.19

企画から溶接・加工まで一貫してできる

介護保険制度のもとでは、介護はその人の「自立」を支えるのが目的とされる。介護・福祉用具もその考え方に基づき、機能維持・回復を目指す用具としてつくられる。とはいえ、どんな機能を持った用具が「自立」を助けるために必要かは、身体の状態や住んでいる環境、家族構成などによって一人ひとり違うため、細かいニーズに応えることが重要だ。

シコクは、住宅の階段や手すりを製造するメーカーとして創業。時にオーダーメイドにも対応できる金属加工・木材加工技術をもち、樹脂部材の取り扱いも行う。その技術を活かし、ニーズに応える介護・福祉用具づくりで福祉の現場を支えている。

その特徴は、アイデア出し・企画、設計、溶接から曲げ加工などを一貫してできる点にある。

複数の機能を一つの製品に

製品の企画は、ニーズの把握から始まる。リハビリ施設の専門家・理学療法士の視点では、機能訓練で使う福祉用具は「体の大きな筋肉を使い機能を維持する」ための動きを補助するもの。その基本をふまえた上で、同時に利用者や介護する人の声も拾い上げている。

そうしてできた商品の一つが介護用手すり「U-ケア」だ。座っている姿勢から立ち上がる際、身体の機能維持の観点では、手すりは上から持って抑えるように力を入れて使うことで、太もも裏などの筋肉の訓練になる。ただ、利用者からは、立ち上がる前の準備として前かがみになる時、手すりを持って“引っ張る”ことができたらラク、という声もあった。そこで、引っ張る、上から押すという2つの力の入れ方を一つの用具でできるようにしたのがU-ケアだ。これまでも「引っ張り用」手すりはあったが、ほとんどが壁など設置するタイプで、住宅改修が必要だった。U-ケアは、据え置き型で設置が簡単な点も画期的だった。

アイデアを形にするにあたり、力が加わっても安定するよう床と設置する土台部分の素材や大きさを試行錯誤。手すりの高さは、立ち上がった後、高い位置で手すりをつかんで安定して立てる上、体の向きが変えられるように、また立っている時にもたれることができその間に介護者が靴や衣類の着脱できるように――といった配慮で設計されている。

介護の専門家と利用者、介護する人のニーズをバランスよく生かしながら完成した“ハイブリッド型”商品は、隠れたニーズを掘り起こして技術で応えていく、小回りの利いた経営スタイルだから実現した。

キーワード


マーケットイン

社会のニーズや利用者の潜在的なニーズを掘り起こし、それに応える製品やサービスの開発を行うこと。一定数のニーズがあるため、売れずに開発コストを回収できないリスクを回避することが期待できる。

これに対し、企業の持つ技術的シーズをもとに製品の開発・提案を行うことで、利用者の潜在的なニーズにアプローチすることを「プロダクトアウト」という。

プロダクト3層モデル

製品の価値を3つの層に分けて整理すること。どういう目的のために使うのか、といった製品の主要な「中核」となる価値と、製品を特徴づける機能や品質といった「実体」、利用者の声を聞くなどのアフターサービスや品質保証といった「不随機能」に分けられる。この3つの面から、製品開発や販売戦略を考える。

スタッフ・メッセージ

製品を企画するときは、どうやって売っていくかも併せて考えています。大手が手掛けていないニーズは何か、その人以外はほとんどニーズのない製品になっていないか……。すき間を埋められて、かつ特殊すぎないバランスを考えながら開発を進めます。また、施設で利用されている見慣れた製品じゃないと家庭には普及しづらいので、これまでにない製品を開発した際は、介護の現場の専門家にも丁寧に製品のよさを伝えます。

開発グループマネージャー
土井康玄さん
高松西高校出身

株式会社シコク

住所
香川県さぬき市津田町鶴羽1118-15
代表電話番号
0879-42-1111
社員数
80人
事業内容
金属・樹脂・木材による手すり及び介護・福祉関連機器、
防災関連機器の製造販売、建築用金物製造販売 他
支店・工場
東京支店、中部営業所、九州支店、沖縄出張所
地図
URL
https://www.sk-shikoku.co.jp/
確認日
2020.02.17

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