細かいニーズを丁寧に拾い上げて
開発した商品が現場の“定番”になる

シコク

Cha✕Cha

2023.11.27

(写真左から)山﨑菜絵さん(藤井学園寒川高校) 藤田裕麻さん(石田高校) 古永のぞみさん(高松商業高校)

(写真左から)山﨑菜絵さん(藤井学園寒川高校)
藤田裕麻さん(石田高校)
古永のぞみさん(高松商業高校)

介護・福祉用具に求める機能は、一人ひとりの身体の状態や住んでいる環境、家族構成などによって違う。ただ、個別のニーズを細かく追求しすぎると、その人以外にほとんど使う人がいない商品となってしまうこともある。

シコクでは、利用者の声を丁寧に拾いながら大手が手掛けていない商品は何か、ニーズのすき間を埋められた上で特殊すぎない商品にするには、といったことを考え開発を行っている。そのため、寄せられた要望をもとに全国で同じようなニーズはないか、今後必要な人が増える可能性はあるかなどを検討。隠れたニーズを掘り起こして形にした商品が、現場の“新定番”になったこともある。

例えば、トイレで便座から立ち上がるだけではなく、方向転換するときの転倒リスクも解消したいという声をもとに、
ひじ掛け型の従来の手すりにU字型の補助手すりを加えた商品を開発した。また、手すりをベルトで取り付ける商品は、あらゆる便器の形に対応できる画期的な商品だった。

そんな開発ができるのは、住宅の階段や手すりを製造するメーカーとして創業した同社の技術があるから。企画・設計、加工まで一貫して手掛けることで、細かい加工にも対応している。

介護の現場ではどんなニーズがありますか。

開発グループマネージャー 土井 康玄さん(高松西高校出身)

開発グループマネージャー
土井 康玄さん(高松西高校出身)

【土井】介護保険制度のもとでは、介護はその人の「自立」を支えるのが目的です。その考えに基づき介護・福祉用品は、今ある力を活かしてできるだけ自分で日常動作を行うための用具としてつくられます。そのため、まず「安全性」への要望は多い。「小型化」への要望は、都市部では高いものの郊外ではそれほどでもなく地域による違いもあります。

【馬込】介護・福祉ショップの声としては、現場で組立・設置しやすい用具へのニーズが高いです。例えば便器を手すりで挟んで固定する商品は便器の形によって何パターンかのサイズを持ち込んでいましたが、弊社が初めて開発したベルトで便器に固定する手すりは、どんな形の便器にも対応できるので作業効率が上がりました。

ニーズから商品化したものは?

【馬込】手すりの先端を伸ばすことができる商品もそうです。段差を上って外から室内に入る時、室内の一歩目のためにもう一つ手すりを設置しなければいけない、という課題をもとに手すりの先端がスイングする構造を考えました。ドアを開けた時は手すりを伸ばす、閉めた時は収納できるようにして、手すり一台ですむようにしました。

【土井】あとは、設置場所に合わせてカーブするスロープも。このスロープも前述の手すりもニッチなニーズなので大手ではやらないかもしれませんが、あえて挑戦しました。業界で初めて開発した商品で、発売後に全国的に製造されるようになったものも多いと思います。

今後はどんな要望が増えると思いますか。

営業課課長 馬込 正幸さん(志度高校出身)

営業課課長
馬込 正幸さん(志度高校出身)

【馬込】流れとしてはデジタル化です。手すりの土台の中に体重計などの機能、離床センサー、1日の運動量がわかる歩行器などで行動や健康状態をチェック・データ管理できる商品はすでにあります。

【土井】これらの商品は、介護保険制度の福祉用具レンタルの対象にはなっていませんが、今後、保険適用の福祉用具が変わってくる可能性もあります。日々変わる状況を踏まえながら、利用者のニーズに応える質のよい商品を開発していきたいです。

高校の時にやっておいた方がいいこと

土井さん
やりたい、やってみたいと思った夢が見つかれば、まわりに遠慮せずわがままに行動してみること。行動すれば夢が具体的な目標に変わると思います。

馬込さん
趣味や興味のあることなど幅広い経験を積むこと。交友関係を広げながら、生涯付き合える友人をつくることも大切です。人間関係からはコミュニケーション力も身に付きます。

◆キーワード


マーケットイン

市場のニーズや消費者の潜在的なニーズを掘り起こし、それに応える製品やサービスの開発を行うこと。市場調査をしてから開発するためニーズを満たした製品ができる、売れずに開発コストを回収できないリスクを抑えることができる、売上予測が立てやすいといったメリットがある。これに対し、企業の持つ技術をもとに開発・提案を行うことを「プロダクトアウト」という。

株式会社シコク

住所
香川県さぬき市津田町鶴羽1118-15
代表電話番号
0879-42-1111
社員数
80人
事業内容
金属・樹脂・木材による手すり及び介護・福祉関連機器・防災関連機器の製造販売
ステンレス・アルミ・スチール及びその他金属による内外装工事
モニュメント・その他の建築用金物製造販売
支店・工場
東京支店、中部営業所、九州支店、沖縄出張所
地図
URL
https://www.sk-shikoku.co.jp/
確認日
2023.09.21

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