最先端機器で検査 「選ばれるクリニック」へ

西高松グループ 代表 松本 義人 さん

Interview

2024.06.20

2024年4月に開院したブレイン脳外科・内科クリニック=高松市林町

2024年4月に開院したブレイン脳外科・内科クリニック=高松市林町

“医師”と“経営者”の二刀流

今年4月、高松市林町に「ブレイン脳外科・内科クリニック」が開院した。診療するのは、脳神経外科、内科、リハビリテーション科。脳神経外科の専門性に加え、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、風邪やインフルエンザの診察、理学療法士によるリハビリなど、地域の「かかりつけ医」としての機能も合わせ持つ。
西高松脳外科・内科クリニックが入る西高松メディカルビルイーア =高松市郷東町

西高松脳外科・内科クリニックが入る西高松メディカルビルイーア
=高松市郷東町

西高松グループは、2007年に高松市郷東町で「西高松脳外科・内科クリニック」を開院したのを皮切りに、16年に「高松画像診断クリニック」と「高松内視鏡診断クリニック」、18年に「東高松クリニック」など、高松市内で次々とクリニックを立ち上げてきた。「ブレイン脳外科・内科クリニック」で実に7拠点。最初の開院から20年足らずで巨大な医療グループへと成長させたのが、脳神経外科医の松本義人さん(60)だ。

「新しいことにチャレンジし、うまくいったことは続けて、ダメだと思ったらすぐやめる。『挑戦と安定』でここまでやってきました」

まさに“医師”と“経営者”の二刀流。「もしかしたら経営の方が向いているのかもしれませんね」。松本さんは朗らかに笑う。

“元気なまま”過ごすために

“経営者”として、松本さんは巧みに戦略を立ててきた。周辺の人口、交通環境、競合するクリニックが近くにないかなどの立地条件はもちろん、最たるものは「検査・診断」への特化だ。

7つの拠点はいずれも手術や入院の設備を持っていない。「診察して、『すぐ手術しましょう』『入院しましょう』と言われる心配がないのが、敷居を低くしているのかもしれませんね」
最新のMRI=ブレイン脳外科・内科クリニック

最新のMRI=ブレイン脳外科・内科クリニック

一方で充実させたのが、最先端の検査システム。

静かで閉塞感を和らげた高性能なMRI、高速撮影・高画質で、被ばく量を最大限抑えたCT、最新式の胃カメラ、大腸カメラなど「大学病院にも全く劣らない設備」を駆使し、人間ドックや脳ドック、乳がん検診や企業健診などで病気の予防、早期発見・早期治療に努めている。

「ほぼ毎日、50人前後のMRI、CT検査をしていますが、そのうち5~6人は“何か”が見つかります。でも、クリニックに来る時はみんな元気。その元気な状態の時に“何か”を見つけて、薬を飲んだり生活習慣を変えたりして悪くならないようにすれば、いまの“元気なまま”過ごせるんです」
松本さんは元々、香川医科大学附属病院(当時)の医師だった。だが、執刀するのは週に2人ほど。「早期の動脈瘤や症状がまだ出ていない“隠れ脳梗塞”を見つけたり、予防を呼びかけたりするやり方なら、もっと多くの人を救えるのに……」

1人の入院患者を手術で救うより、1000人の未病の患者を救いたい―

開業の決め手になった松本さんの揺らぐことのない信念だ。「クリニックでの検査で、もし手術や入院が必要になった場合は、香川大学医学部附属病院や香川県立中央病院などに紹介するルートも築いています」

デジタル化で「待ち時間」を短縮

戦略はまだまだある。名前もその一つ。「内視鏡診断クリニック」「画像診断クリニック」……。あまりにもストレートで、何をするところなのかが一目瞭然だ。「ネーミングは一般受けする幅広いものが良いと思われがちですが、マーケティング的には逆です。具体的でニッチなほど、本当に必要としている人に高い確度で届きます」

いま特に力を入れているのが「デジタル化」。目的は極めてシンプルだ。「“待つ”って嫌ですよね。大学病院にいた時も患者さんを随分待たせていましたから……」

オンラインで予約し、オンラインで問診する。結果をスマホのアプリで受け取ることもできる。診察が終わった後は、「電子決済を導入しているので、支払機にIDを入れたらすぐ会計できます」。また、「電子処方箋」がスマホに届くので、自分の行きたい薬局で薬を受け取ることもできる。「来た時、帰る時の待ち時間を少しでも短縮できればと思っています」

開院して間もない頃は、一日の患者が20人に満たないこともあった。「『きょうは50人を超えましたよ』と事務のスタッフが走って伝えに来てくれた日のことは、いまでもよく覚えています」
1人の入院患者を手術で救うより 1000人の未病の患者を救いたい

1人の入院患者を手術で救うより
1000人の未病の患者を救いたい

未病の1000人を救うためには「選ばれるクリニック」にならないといけない。

今年4月からは拠点のクリニックでクラウドシステムを構築。電子カルテをサーバー上で共有するなど連携を強化した。さらに、がん細胞特有の動きに注目し、MRIを用いて全身のがんを見つけ出す「DWIBS(ドゥイブス)検査」や、尿でがんのリスクを調べる「Noah(ノア)検査」、体に負担をかけずにがんを調べられる最新の検査法もいち早く導入している。

「患者さんの利便性が高まるよう、これからもいろいろチャレンジしながら改善していきたい。専門医の先生やスタッフと力を合わせて、全力で医療サービスを提供していきます」

篠原 正樹

松本 義人 | まつもと よしひと

略歴
1963年 兵庫県加古川市出身
1982年 静岡県立浜松北高校 卒業
1989年 香川医科大学(現香川大学)医学部 卒業
1994年 香川医科大学大学院 修了
     香川医科大学附属病院 勤務
     アメリカ国立癌研究所などを経て
2007年 西高松脳外科・内科クリニック 理事長
     西高松グループ 代表

西高松グループ

住所
香川県高松市郷東町134-1西高松メディカルビルイーア2階
代表電話番号
087-832-8811
設立
2007年2月(西高松脳外科・内科クリニック)
社員数
145人(グループ)
グループ
西高松脳外科・内科クリニック、高松画像診断クリニック
高松内視鏡診断クリニック、東高松クリニック
医療法人社団あずみ会まつもと眼科
西高松キッズクリニック、ブレイン脳外科・内科クリニック
地図
URL
https://nishitakamatsu.jp/
確認日
2024.06.20

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