物事の原理を知り失敗から学んだ一流の仕事

木村政美(きむら・まさみ)さん/株式会社香西鉄工所 製造部門担当執行役員

Topic

2022.10.20

中学を卒業し、職業補導所で溶接技術を学んで鉄工所に入社。道具はほとんど手づくりで、パソコンや半自動溶接機どころか電卓もまだ珍しい時代。ポケットに入れたそろばんの玉が作業に合わせて鳴るのが仕事のBGMだったという。

高度成長期を経て、一品一様のものづくりから量産品へと変化していく業界を目の当たりにしつつ、1976年に香西鉄工所に入社。職長から工場長、常務取締役とキャリアを重ねた。70歳で顧問となり後方から経営と現場を支えていたが、75歳を迎えた今年3月、執行役員兼現場総責任者として再び現場の第一線に。仕事の喜びは「さんざん悩んで思いついたアイデアがうまくいった時の、冷や汗が一気に引いていくような達成感」と語り、この喜びを若者たちにも味わってほしいと、後進の育成に尽力。「自分なりの試行錯誤を惜しまない若手の意見を聞くのが楽しみです」。

金属は熱を加えると縮んでひずむ。プレスしてひずみを取ると、今度は伸びる。その特性を熟知してどれほど正確な加工ができるかが腕の見せどころだ。「大切なのは原理を知ること。表面的なやり方を真似るだけでは、ただの作業です。原理を知れば作業が『仕事』になる。私は人の何倍も失敗して恥をかいて、原理を学んできました。それを若者たちに伝え、失敗を防ぎ進むべき道を示すのが私の役目です」。

一方で、個人の技術力の差によらない均質化を図るため、独自の治具化も進めている。工程のマニュアル化とも言えるだろう。それでもミスがあった時に原因を分析するため、履歴を残すよう徹底的に指導。「分析すれば再発を防げます。失敗した時の痛みは、味わった人しかわからない。それが経験というものですよ」。現在建設中の新工場を眺めつつ、「まだまだ恥をかくことも多いけれど、夢もたくさんあります」と語った。

株式会社香西鉄工所

住所
香川県高松市春日町1286-10
代表電話番号
087・843・1177
事業内容
建設用機械の基幹部品製造、機械器具の部品製造、鋼構造物・機械器具の設計・製造・据付
地図
URL
https://www.kozai-iron.co.jp/
確認日
2021.11.18

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ