調査概要
旅行者は東アジアが多数も、宿泊比率は欧米豪が高い
一方で、直島を訪れた人のうち直島に宿泊した人の割合(=宿泊比率)を試算したところ、上位はオーストラリア、アメリカ、カナダ、イギリスであり、アジアより欧米豪の宿泊比率が総じて高い結果となった。直島を訪れる外国人旅行者の数では東アジアが多い一方で、宿泊する比率は欧米豪が高い。
直島を訪れても四国内の周遊は限定的
まず東アジアは、高松市83.0%と極めて高く、琴平町や愛媛県、徳島県、高知県との相関もある。高松市を拠点とし、限定的ではあるが四国内を周遊しているといえる。
次に東南アジアは、高松市37.9%と最も高いものの、愛媛県、徳島県、高知県との相関はなく、四国内の周遊はほぼない状況である。大阪や京都など関西圏の比率が高いことから、関西空港を利用して直島へ移動した人が多いと推察される。
最後に欧米豪は、高松市29.6%より、東京、京都、大阪、広島など本州との相関が高い。四国や瀬戸内地域に留まらず、本州を幅広く周遊していることが分かる。
このように、エリアごとに周遊の特徴に違いはあるものの、直島まで来ても四国内をあまり周遊せずに帰ってしまうケースが多い。
瀬戸内海におけるつながりを創出し、面的な拡がりによる周遊を促す
具体的には、①多様な宿泊施設と質の高いサービスの提供、②国地域ごとの戦略による四国における滞在長期化、③クルーズ船を含めた観光客向け航路の柔軟性・利便性の向上、④中国や関西地域との連携強化―などが挙げられる。
高松空港では海外路線が相次いで再開するなど、本格的なインバウンド復活への機運が高まっている。大阪・関西万博と次回の瀬戸芸が同時開催される2025年に向け、地域同士が協力し、これまで以上に広域で取り組むことが求められている。
日本政策投資銀行四国支店 企画調査課 副調査役 藤岡亜希子
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