後者は、個人旅行者の移動手段となる公共交通機関の「利便性」を高める設備投資環境が挙げられる。しかし速さだけを求めない観光旅行者は、交通機関共通パスや観光列車などソフト面の交通サービス・商品化が需要喚起策となりうる。
国土交通省は、滞在型観光地づくりを目指す全国13地域の協議会を支援している。「香川せとうちアート観光圏」では3年目の新規課題として、強みである「島旅」を活かす内陸観光地との周遊観光交通利便性を目標に、鉄道・旅客船・バス・タクシー・レンタカーなど海陸交通連携へ取り組みを開始した。
17年7月、県内主要海陸交通企業10社等をメンバーに、香川県観光協会と四国運輸局を事務局としたワーキンググループを創設。「レール&フェリー」「フェリー&タクシー」等の議論を重ね、本年度は5商品が提案された。
1.訪日外国人向け鉄道パス「ALL SHIKOKU Rail Pass」の小豆島エリアフェリー航路及び島内路線バス追加、2.香川県エリア新商品「KAGAWA Mini Rail&Ferry Pass」、3.関西発フェリーと「うどんタクシー」等観光タクシーの一体プラン、4.備讃瀬戸「東西島巡り」や、5.島の「ナイトプログラム」等新たなルートや観光素材開発による海陸旅行商品、を今後発売予定。また、増加する外国人レンタカー利用者のフェリー乗船手続円滑化の可能性を協議中である。
事務局は、県観光協会による船・鉄道時刻表等交通情報充実、運輸局の外国人観光客受入環境整備を連携実施していく。
交通・観光サービス高付加価値化は民間創意連携が主役であり、行政は業態間ネットワーク機会提案の役割が期待される。
本ワーキングでは、18年度は例えばRail&Ferry Pass沿線のまち歩きや食等「交通・観光」連携や、高松空港や航空会社との「海陸空」交通連携など議論を継続。意欲的なメンバー追加など更なる交通・観光ネットワーク展開を目指していきたい。
国土交通省 四国運輸局次長 榎本 通也
おすすめ記事
-
2023.06.15
訪日外国人旅行者の四国に関する意向調査
~DBJ・JTBF アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査2022年度版~日本政策投資銀行
-
2023.02.16
直島を訪れる訪日外国人旅行者の実態調査
~瀬戸内国際芸術祭のインバウンドデータを読み解く~日本政策投資銀行
-
2019.06.12
緊急時にも役立つインバウンド対応
JR四国
-
2017.01.05
外国人観光客の意義と瀬戸内国際芸術祭
日本銀行高松支店長 菱川 功
-
2018.07.05
新興企業が全体の6割
主な「シェアハウス業者」752社動向調査 東京商工リサーチ
-
2014.11.20
地域への誇りが 最高のおもてなしを生む
香川県観光協会 会長 三矢 昌洋さん
-
2018.02.01
民営化で瀬戸内No.1空港へ
高松空港株式会社 社長 渡部 哲也さん
-
2024.08.15
日台パートナーシップ強化セミナー
ジェトロ香川
-
2024.07.04
企業向けの教育サービス始動《vol.2》
香川オリーブガイナーズ
-
2024.06.20
企業向けの教育サービス始動《vol.1》
香川オリーブガイナーズ
-
2024.03.07
切削工具の寿命を“見える化”する 実験の成果を発表
葵機工×四国職業能力開発大学校 連携プロジェクト《Vol.3》