2023年度の賃上げ予定企業 76.0%「賃上げしない」理由 「価格転嫁できていない」が最多~2023年度香川県「賃上げに関するアンケート」調査~
東京商工リサーチ
2023.04.06
賃上げ率「5%以上」は2割未満
「定期昇給」が最多
賃上げを「実施しない」理由は、「十分に価格転嫁できていない」が最多で、以下、「原材料価格が高騰しているため」、「燃料代が高騰しているため」、「電気代が高騰しているため」、「受注の先行きに不安があるため」等の理由が挙げられた。急激な物価上昇を転嫁できない企業ほど、賃上げに後ろ向きな姿勢にならざるを得ない状況が浮かび上がる。
「賃上げ率」では、連合が23年度春闘で掲げる「5%以上」の目標を予定する企業は17.9%にとどまり、2割に届かなかった。
賃上げの内訳は、「定期昇給」と「ベースアップ」が多かった。一方、インフレ手当の支給では、中小企業の方が積極的である事がわかった。
人手不足や物価高への対応で賃上げが注目されているが、中小企業にとって賃金体系の底上げは資金負担が大きく、一時金やインフレ手当などの名目で対応している状況が透けて見える。
コロナ禍や物価高、エネルギー価格上昇など、企業を取り巻く環境は予断を許さないが、業績と賃上げのバランスに苦慮する中小企業は多いようだ。

賃上げに必要な要因では、多くの企業が「値上げ」を挙げた。賃上げ原資のための価格転嫁の必要性を訴える企業にとっては、今後、価格転嫁や受注拡大に加え、効率化や採算性向上への支援もキーワードになるだろう。
Q.最近の急激な物価上昇に伴い、従業員に「インフレ手当」(類するものを含む)を支給しましたか?(択一回答)
規模別では、「支給した」は大企業ではなかったが、中小企業は12.2%(49社中、6社)あった。また、「支給しない」大企業は100.0%で、中小企業は59.2%(29社)だった。
Q.賃上げを実施するうえで必要なことは次のうちどれですか?(複数回答)
※賃上げの実態を把握するため、「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義した。
※資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。
東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 有馬 知樹
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