
芸術士として活躍する村井知之さん、太田絵美子さん、三好智子さん(左から)
取り組みの一つが、高松市の事業でもある「芸術士活動」だ。市内の保育所や幼稚園などの施設に週1回アーティストを派遣し、子どもたちと創作活動を行うもので、2009年に始まった。芸術士は現在17人。絵画やファッションなど専門は多彩。シンガーソングライターもいる。
芸術士が指示して子どもに何かを作らせるのではない。子どもが作りたいもの、してみたいことができるようにサポートし、見守る。子どもの創造力を引き出すことが芸術士の仕事だ。それゆえ、施設によっても芸術士によっても活動内容が異なる。
太田さんは東京や千葉で教員をしていたが、芸術士活動に参加するため地元である香川に帰って来た。
「雑木林を使って、空間のデコレーションや秘密基地づくりをしました。アーティストの一番の理解者は、子どもかもしれません」。芸術士と子どもたちが響き合う。そんな感覚だという。「活動を通して、子どもたちの視野や選択肢が広がってくれたら」
村井知之さん(40)は、芸術士活動の立ち上げから参加。「大人はよく見せようとしますが、子どもはしたいことに向かって突き進みます。アートとの化学反応が面白いですね。親戚のおじさんみたいに思ってくれたらうれしい」。音楽に合わせて自由に踊るなどのパフォーマンスを、子どもと共に楽しんでいる。
三好智子さん(31)はイラストが専門。「芸術士とアートについて語り合う子もいますよ。子どもの創造力は、私の想像以上です」。夏は、凍らせた絵の具を使って指で絵を描いたそう。
芸術士は子どもたちとの活動を写真で記録していく。その「ドキュメント」と呼ばれる活動記録には、あっと驚くような創作活動の様子と、満面の笑みを浮かべた子どもたちの姿がある。毎年、活動記録展を開催しており、今年は高松市丸亀町で12月19日から始まる。

サイズの決まったキャンパスに、きちんと収まるようお行儀よく絵を描くことだけが正解ではない。いつの間にか固くなった頭を解きほぐしてくれる。芸術士は、子どもだけでなく大人にとっても、大切で必要な存在になっていくように思えた。
太田 絵美子 | おおた えみこ
- 1983年7月5日 香川県高松市生まれ
2006年3月 武蔵野美術大学 卒業
2010年4月 NPO法人アーキペラゴ入社
芸術士活動に参加
- 写真
NPO法人 アーキペラゴ芸術士事務局
- 所在地
- 香川県高松市番町1丁目5-1
- TEL
- 070-5351-7708
- 事業の概要
- 保育所・幼稚園・こども園への芸術士派遣
- URL
- http://geijyutsushi.archipelago.or.jp
- 確認日
- 2018.01.04
おすすめ記事
-
2018.06.21
高松から世界へ飛び立つ子どもを育てる
濱川学院 代表 濱川 武明さん
-
2021.01.28
クリエイティブ人材を育成
デジタルハリウッドSTUDIO高松
-
2021.01.07
勉強の価値
著:森 博嗣/幻冬舎
-
2020.11.05
村を育てる学力
香川県教育委員会 教育長 工代 祐司
-
2020.05.21
医療崩壊、社会崩壊を回避するには
香川大学創造工学部教授 長谷川修一
-
2020.04.16
母の話
香川県教育委員会 教育長 工代 祐司
-
2020.01.03
制度が変わっても基本は同じ 問題を解くカギは「読解力」
ビジネス香川編集室
-
2019.12.19
香川はどうしてこんなに素晴らしいんだ その2
梅田 智子
-
2019.08.03
地域の課題を解決し、提言へ
-
2010.03.04
多様性こそ強み!香川大学改革の決め手
香川大学 学長 一井 眞比古さん
-
2019.03.07
はざまで悩む子どもと家族のためのコミュニケーションツール
療教育メソッド はなはな*みかん