結婚式は絆と絆の交差点

ザ・チェルシー(マツノイパレス) 代表取締役社長 住田 浩さん

Interview

2014.11.06

「祖父は商売上手でしたね。ランを栽培する技術は、全国で高く評価されていたようです」と話す住田浩さん(43)。1967年に祖父が、丘の上の一角で、東洋ランの栽培・展示・販売を始めた。ランを目当てに、全国各地から多くの人が集まった。来てくれた人のためにと、小料理屋や宿泊施設、宴会場を増設。これがマツノイパレスの原型となった。

祖父から父と父の兄弟が事業を引き継いだ後、当時需要が高まっていた結婚式場としても営業を開始。観光旅行も盛んで、宿泊施設としても人気に。95年ごろまで、経営は好調だったという。

ところが、バブル景気が崩壊。宿泊客は減少、企業のイベントも規模縮小で宴会場の利用も減った。年間500組超の利用があった結婚式は130組まで落ち込んだ。「98年ごろには『マツノイはつぶれる』とうわさされることもありました」

そんな中、99年に尊敬する父が社長に就任。高専を卒業した住田さんは、設計事務所の設立を夢に、建築資材メーカーに勤めていた。しかし、会社のために奔走する父の姿を見て、マツノイパレスへの入社を決意。子どものころから慣れ親しんだ場所を守りたいという気持ちがあった。「昔、結婚式の余興であった『ちびっ子獅子舞』を手伝いながら、幼心にも結婚式っていいなと思ったものでした」
2000年に入社。まずは結婚式場を「ザ・チェルシー」に改称した。チェルシーはニューヨークの地区の名前から付けた。多くのギャラリーが集まり、人気が高まりつつあった活気のある地区にあやかった。ロゴマークの3つのCは、チョイス・チャレンジ・チェンジの頭文字だ。

入社当時、ハード面の整備、人材育成など問題は山積み。まずは、時間のかかる人づくりに着手した。生花店や写真スタジオなど結婚式を一緒に作っていく人たちは、協力会社や取引先ではなく、ザ・チェルシーにとっての親愛なるブレーンであるというのが住田さんの考え。

そんなブレーンに、仕事を通して感じたこと、改善してほしい点など日報を書いてもらうようにした。続けるうちにいろいろな意見が集まり、これが従業員の良い刺激に。「お客様、従業員、ブレーンの皆さん、誰にとっても居心地の良い結婚式場でありたい」。改革を始めるなら今日からだと、これまで待ったなしで取り組んできた。

分厚い事業計画書を作り、自ら融資の交渉に出向いたことも。その甲斐あって改装工事を実施。翌年、結婚式は約260組にまで回復した。その後もチャペル、披露宴会場などを次々にリニューアルし、現在は全盛期に追い付くまでに。前職の経験を生かして、住田さんが会場や椅子などインテリアの設計を行うこともある。

結婚式は、新郎・新婦を祝うために、多くの人が予定を合わせて全国から集まる。「お世話になった人に、伴侶を紹介するだけではない意味があります。絆と絆の交差点というところでしょうか。結婚式は尊い文化だと思います」。新郎新婦だけでなく出席した人も、元気と勇気を持って帰る、そんな場所だと話す。

09年に社長就任。先代から続く結婚式場、宿泊施設、宴会場として営業を続けてきたのはもちろん、他社の結婚式場のプロデュースも行い、これまで40件程度を手掛けた。また、県外や国外への出店も視野に入れている。「スイーツフェスタやデザイナーズエキスポなど主催イベントも行っています。いつも目が離せない、そんな存在でいられたら」

住田 浩 | すみだ ひろし

1970年12月 香川県生まれ
1991年3月 香川高等専門学校 機械工学科 卒業
1991年4月 YKKAP株式会社(設計部) 入社
2000年2月 マツノイパレス(ザ・チェルシー) 入社
2002年5月 取締役副社長に就任
2009年6月 代表取締役社長に就任
写真
住田 浩 | すみだ ひろし

高松パレス株式会社 ※ザ・チェルシー、マツノイパレスは屋号

所在地
高松市香川町川東下1878番地
TEL
087-879-3411
事業の概要
結婚式場、カフェ&レストラン、ギフトショップ、
コンサルティング事業
資本金
5,000万円
社員数
55名
URL
http://www.the-chelsea.jp
確認日
2018.01.04

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