好きなことをとことん追求できる無二の場所

山口 宏己(やまぐち・ひろみ)さん/株式会社菅組 棟梁

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2023.06.15

詫間出身。創業110年以上の歴史を持つ菅組で、祖父・父とも宮大工として腕を振るってきた。中学時代、冬休みに仕事を手伝うようになり、15歳で卒業してすぐに入社。18歳になるのを待ちかねて車の免許を取り、3年目からは父の下について、寺社建築を中心に住宅から医療施設まで、さまざまな現場で腕を磨いた。

現在の菅組は社内に大工18人が揃う自社施工体制だが、当時は外部の大工が応援に来て寺社の装飾彫刻などを手掛けていた。20代前半の山口さんは、菅順一会長(当時)に「あんたも彫りなさい」と声を掛けられたことから、父の道具を借り、先輩職人の手仕事を見て彫刻を学び始める。「下絵は会長が描いてくれてね。自社で全部つくるようになると、我々の手でものづくりをしている実感があって一番いい」。今は下絵からすべて自分で手掛け、彫刻ができる後輩も育ってきた。「柄を考えるのは今でも大変」と言い、自身のデザイン案は後進の参考資料として保管している。

棟梁になったのは29歳の時。若くして責任ある立場を任されることになり、時には2件同時進行で大工たちの振り分けに追われることも。施主には若輩だと不安がられたりもしたが、「実際に物が出来上がると認めてくれる。1件1件の積み重ねが自信になるし、できることも増えるから、何事も経験です」と振り返る。
寺社の装飾彫刻をすらすらと描き上げ、 迷いなく刃を入れる。経験が磨いた職人技

寺社の装飾彫刻をすらすらと描き上げ、
迷いなく刃を入れる。経験が磨いた職人技

現在、息子と孫も菅組の大工として修行中。若手に技術を伝える時は「最初はやり方を見せて教える。大事なのはそこで『書き留める』こと。手取り足取りでは自分で考えんようになるけど、書けば忘れんし、忘れたら見ればいい。我々もそうやって学びました」。自身のこれからについては、「自分の好きなことをこれほど追求できる場は他にありません。それも当社の歴史と実績があればこそ。まだまだ動けるうちは続けたいし、いずれは息子や孫の世代が育ってくれるでしょう」と期待をかけている。

株式会社 菅組

住所
香川県三豊市仁尾町仁尾辛15-1
代表電話番号
0875-82-2441
設立
1909年10月5日創業
社員数
150人(技能者30名含む)
事業内容
建築工事、土木工事・一級建築士事務所
不動産事業・古材事業
資本金
7500万円
地図
URL
http://www.suga-ac.co.jp/
確認日
2021.10.04

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