※賃上げ実体を把握するため「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)の増額」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義した。
※資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。
賃上げ機運が実施率を押し上げた
賃上げの実施内容は、「定期昇給」74.0%の他、継続的な物価上昇を背景に「ベースアップ」が62.0%となった。
2023年春闘について、連合は賃上げ率5%程度(定昇含む)の方針を示していた。香川県内の企業で5%以上賃上げを達成した企業は27.3%だった。
コロナ禍初めの20年度の賃上げ実施率は、過去最低水準にまで落ち込んだ。経済活動の再開と物価高、人手不足が重なった23年度は、9割を超える水準となった。しかし、売上増と利益拡大を実現できないままの賃上げは、堅実経営とはかけ離れた行動で収益圧迫の諸刃の剣になりかねない。正常な価格転嫁による収益改善と賃上げ原資確保の実現が重要になっている。

Q1.今年度、賃上げを実施しましたか?(択一回答)
Q2. Q1で「賃上げを実施した」と回答した方にお聞きします。実施した内容は何ですか。 (複数回答)
Q3.賃上げ率(%)はどの程度ですか?年収換算ベース(100までの数値)でご回答ください。
即効性のある対策が急務
企業の14.3%は来年度の最低賃金上昇を「許容できない」と回答し、27.3%の企業は最低賃金上昇に「できる対策はない」と回答している。
通常の賃上げと異なり、最低賃金を上回る賃金支払いは企業の義務だけに、人件費の捻出に向け「価格転嫁」(36.4%)や「設備投資による生産性向上」(25.5%)などが、現実的な対応策になっている。企業の自発的な賃金引き上げを促すには、価格転嫁に向けたサポートや各種税の引き下げ、収益力を高めるための投資支援など、即効性のある対策が急務になっている。
東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 波田 博
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