能力や意欲に合わせて
誰もが働きやすい職場を目指す

三祥

Cha✕Cha

2024.11.27

男性が多いイメージがある製造業の現場で、男女ではなく“意欲と能力”という視点で従業員を捉え、一人ひとりが働きやすい環境をつくることは、生産性向上や職場の活性化にもつながる。

建設用クレーン部品の製造、各種金属の溶接・加工などを行う三祥では女性の溶接加工者が在籍している。ものづくりに興味があり、一つの商品を自分で最後まで製作してみたい、という意欲を買い採用。職業訓練校で基礎的なことは学んでいたものの、入社後改めて溶接の知識や安全についてレクチャー。現場では同じグループのリーダーが進捗状況をみながら少しずつ新たな加工への挑戦を提示しながら技術を磨いている。

現在、溶接技能者の資格をはじめ、重量物を吊り上げる玉掛けの資格などを取得。今後はフォークリフトの資格取得を目指している。会社からは技能者のコンクールへの出場も期待される。

この事例をきっかけに、板金や金属加工といった他の部署でも女性の採用を検討。また、女性だけではなく外国人技能実習生の受け入れも積極的に行い、敷地内に寮を新築するなど仕事に集中できる環境づくりにも力を入れる。性別だけではなく、国籍、年齢を重ねた人……誰もが安心して意欲や能力を発揮できるよう、手すりなどの設備や作業の動線、制度、人材育成などをさらに整えていきたいという。

技術者を目指した理由を教えてください。

小林 昔からものづくりに興味があり、その中でもなぜか「溶接」が気になっていました。職業訓練校で「溶接」を学んだ後、何社か見学した中で三祥の雰囲気が自分に合っていると感じて――。実際、わからないことはすぐ聞けますし、部門のリーダーが作業の状況を常に気にかけてくれ安心感があります。

梶尾 男女も国籍も関係なく、意欲がある人を育てていこうという方針を立て、職業訓練校に採用のオファーをしました。入社後の座学研修、その後現場で経験を積みながらリーダーが適性とスキルに合わせて加工を任せていく、というステップを考えてはいましたが、今回初めて女性を採用したので心配もありました。しかし、現場でも積極的に質問しながら真面目に取り組む姿に感心しました。

業務でおもしろいところは?

代表取締役・梶尾哲也さん

代表取締役・梶尾哲也さん

小林 シンプルな形から少しずつ複雑な製品を手掛けるようになり、図面も見るようになった。毎日のように新しい技術を覚えることができるのは楽しいですし、自分がステップアップしている感覚があるのでやりがいがあります。自分が携わったコンテナを出荷する際に「このあたりは私が加工した部分かな」と探しながら見送りましたが、その時は感動しました。

梶尾 これを機に、他の現場でも意欲がある女性が活躍できる環境をつくりたい。女性も、高齢者もすべての人が働きやすい環境をハード面や制度、人材育成といった様々な面から考えていきたい。

どんな「挑戦」を考えていますか。

小林 いつか最初から最後まで自分で一つの製品を完成させたいですし、大きな製品にも挑戦したい。その時は、大きな部品を自分一人で動かすことができるようフォークリフトの資格も取りたいと思っています。

梶尾 溶接は素材によって違うし、様々な加工方法があるので奥が深い。それを少しずつ身に付けながら、彼女には技術者が技を競う県のコンクールにも出場してほしいですね。
会社としては、今後自社製品にも力を入れたい。現在ある商品「産業用コンテナ」を応用したマンションの置き配用のボックスなど、新たな商品開発にも力を発揮してもらえたらと期待しています。

◆キーワード


ものづくり女子

ものづくりの現場で活躍する女性を増やそうと、自治体や教育機関が講座を開設するなど、製造業に関心を持ってもらう活動が広がっている。背景には、産業の担い手となる生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の減少による労働力不足や職種の多様化などがある。

株式会社三祥

住所
香川県高松市三谷町3529-8
代表電話番号
087-888-5781
設立
1968年1月
社員数
98名
事業内容
建設用油圧式クレーン部品等の製造、各種溶接、機械加工、板金加工等
地図
URL
http://sansho-kagawa.co.jp/index.html
確認日
2024.01.18

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