女性が活躍できる 社会の実現へ

香川経済同友会 代表幹事 竹内 麗子さん

Interview

2016.08.04

香川経済同友会事務局=高松市紺屋町

香川経済同友会事務局=高松市紺屋町

小学生の時、クラス委員を決める選挙で圧倒的な票数を獲得した。だが委員長になったのは票数が2番手の男子だった。「どうして私は副委員長なの?」。この時感じた理不尽さが原動力になった。

高松市の不動産会社、ライブハウジング専務の竹内麗子さん(67)は長年、女性の自立や地位向上を目指す活動を続けてきた。「女性が活躍できる社会にならないと、地域経済は立ち行かなくなると思います」

今年5月、竹内さんは地元企業の経営者らがつくる香川経済同友会のトップ、代表幹事になった。女性の代表幹事は中四国の同友会では初めてで、全国的にも極めて珍しい登用だ。「そんな大役は無理だ」という戸惑いもあったが、「捨て石、踏み石になってもかまわないという覚悟で引き受けました」

様々な分野にたくさんの石を投げ込んで、波紋を起こしていきたい。中小から大手まで、若手から大御所まで、ほとんどが男性ばかりのメンバーを率いて竹内さんは、女性が活躍できる社会の実現に挑む。

5月、香川経済同友会は「イクボス宣言」を出した。イクボスとは、男性従業員の育児参加に理解のある経営者や上司のことだ。育児と仕事を両立できるよう会員企業に呼びかけ、香川県からも子育て環境の充実に協力してもらえるよう約束を取りつけた。企業がイクボスを宣言する事例は全国各地で増えているが、経済同友会が行うのは全国でも初めてだ。

「そんなことはできんと却下されるのも覚悟で役員会に提案したら、なぜかうまい具合に承認されました」。竹内さんは代表幹事になって初めて手掛けた試みをこう振り返る。

香川経済同友会は、数千人の社員を抱える大手から中小の地元企業経営者らがつくる経済団体で、円滑な企業活動の推進や地域経済を良くするための提言などを行っている。竹内さんは取引先の経営者に誘われ、2001年に入会した。「同友会は右肩上がりの経済成長期につくられました。そのために、まだ男性中心の昔ながらの封建的な組織形態も残っています」

毎年多額の費用と日数をかけて海外視察を行う。各委員会で地域活性化への議論を交わすものの、「提言団体に甘んじてしまっていて、例年を踏襲する恒例行事が多い気がします。目新しい試みが必要ですね」

このままでは地域を良くするどころか、会の存続さえも危ういと、これまで様々な提案を繰り返してきた。だが、組織の高い壁に阻まれることも少なくなかった。
香川経済同友会総会で「イクボス宣言」=5月31日、JRホテルクレメント高松

香川経済同友会総会で「イクボス宣言」=5月31日、JRホテルクレメント高松

入会して15年。積極的に活動に参加し続けたことで、幹事、常任幹事、副代表幹事と、主要ポストも任されてきた。ここ最近になって、「10個提案すれば、何とか6つ7つは議論してもらえるようになりました」と笑う。

これまでの実績や、国が「女性の活用」を成長戦略の柱の一つに掲げる流れも受け、昨年、「代表幹事になってほしい」と打診された。「そうそうたる企業の経営者が集まる団体です。でも、私のところはスタッフが5人程の小さな会社。最初は冗談かと思いました」

代表幹事になると本業にも支障が出る。「自分に務まるのだろうか」という不安もあった。親しい経営者仲間からは「やめておいた方がいい」とも忠告された。しかし、竹内さんには断ることのできない大きな理由があった。

重責に立ち向かう

1979年、30歳の時に、マンションや一戸建ての賃貸や売買を扱う不動産会社を立ち上げた。「夫の親許が元々不動産業者で、私も資格をいくつか持っていたので、やっていけるだろうと安易に考えていました」

しかし現実は厳しかった。不動産売買の決済で銀行を訪ねても、「ここでお待ちください」と言われ応接室にも通してもらえない。大きな案件を持ちかけてもお客さんに信用してもらえず、取引できなかったこともあった。女性社長の会社は不利かもしれないと考え、実家の不動産会社で役員をしていた夫に社長になってもらった。「理不尽な思いをしたことは数えきれませんね」

団塊の世代に生まれ、男女平等教育を受けた。女性が軽んじられる風潮はどうしても許せなかった。仕事を続ける傍ら、女性の活躍推進、子育て支援、働く女性応援会議など様々な団体の会長や委員を務め、四国で初めてライオンズクラブの女性メンバーにもなった。「仲間たちと一緒に、男女が多様な場所でフィフティフィフティになる世の中を目指してきました。香川県の各審議会で女性委員が全体の4割にまで増えたのは、私たちの取組みが後押しになったと自負しています」

そんな中、代表幹事の声がかかった。ついにそういう時代が来たのかと思った。「ここで引き受けないと、私たちがやってきたことがウソになる。私の人生を私自身が否定することになってしまう」。女性団体のメンバーからも「私たちの代弁者として、ぜひ挑戦してほしい」とエールを送られ、覚悟が固まった。

失敗を恐れない

すでに新たな試みも始めている。同友会の会合に会員企業のトップが出席できない場合は、男性ではなく女性社員に代理で出てもらい、経済界とのコネクションを作ってもらう。少子化問題などで行政の意見を聞く場合には、幹部候補の女性職員に来てもらう。「男性目線だけで少子化を議論してもずれが生じます。将来を切り拓いていくための切り札の一つが女子力だと思っています」

「イクメン」が一般的になり、「仕事は男性、女性は家事と育児」という時代はとっくに過ぎた。ライフスタイルは多様化し、結婚や子育てに縛られず、一人の人間として自分の人生を全うしたいと考える女性が急速に増えていると竹内さんは話す。

理不尽に思うことは今も尽きない。「子どもを産まない女性から、多めに税金を取るのはどうか」とか、「企業のトップと専業主婦が、選挙で同じ1票というのはおかしい」といった意見を聞くこともある。「時代が変わって女性がバリバリ働くようになったから、朝ご飯を作ってもらえない子どもが増えたよね」という発言が出た時には、「朝ご飯を母親が作るというのは誰が決めたんですか?」と食ってかかったという。「時代の変化を理屈では分かっていても、感情では理解できず、ついていけていない男性がまだまだ多いと感じますね」

現在、香川経済同友会の会員数は約340人。このうち女性はわずか10人ほどだ。「私の最大の使命は女性メンバーを増やすことと、組織の若返りです。目指すは男女フィフティフィフティです」。代表幹事になって以降、すでに女性1人と若手の男性3人が入会したそうだ。

代表幹事の任期は2年。1年目から全力投球でやらないと、とても時間が足りないと話す。

「スピード感を持って、いろんなことにチャレンジしたい。女性目線での新たな切り口で、全国にも発信したいと思っています」。そしてこう続ける。「失敗してもかまわない。それも経験になります。若い世代の人たちが失敗から何かを学び、次に繋げてくれればと思っているんです」

編集長 篠原 正樹

竹内 麗子 | たけうち れいこ

1949年 綾上町(現綾川町)生まれ
1979年 ライブハウジング 設立
    取締役専務
2001年 香川経済同友会 入会
2003年 幹事
2005年 常任幹事
2010年 副代表幹事
2016年 代表幹事
写真
竹内 麗子 | たけうち れいこ

一般社団法人 香川経済同友会

所在地
高松市紺屋町1-3 香川紺屋町ビル6階
TEL:087-821-8754/FAX:087-823-1160
設立
1989年
(全国で38番目の経済同友会として)
会員数
338人(2016年6月現在)
代表幹事
下村 正治(香川銀行頭取)
竹内 麗子(ライブハウジング専務)
活動内容

講演会、経済の調査研究・提言活動
全国経済同友会地方行財政改革推進会議への参加
産学官連携による取り組み
地域交流活動 など
地図
確認日
2018.01.04

有限会社 ライブハウジング

所在地
高松市番町3丁目7-9
TEL:087-831-4041/FAX:087-862-4188
取扱物件

貸アパート・マンション
貸戸建、貸事務所、店舗
駐車場、貸工場、倉庫、売土地 他
確認日
2018.01.04

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