五感を使って地域を知り心で理解する

日本政策投資銀行 四国支店長 原 幸宏さん

Interview

2016.08.04

手にしているのは撮影したオーロラやフィンランドの街並みをまとめた1冊

手にしているのは撮影したオーロラやフィンランドの街並みをまとめた1冊

「持論ですが、男の子は運動系と非運動系に分かれると思っていて、私は完全に後者。小学校高学年のころ流行していた短波ラジオで海外放送を聞いて、やがてハンダゴテでラジオを作るようになりオーディオにも夢中になりました」。本人いわく「非運動系の王道」という変遷の中で、クラシック音楽や今一番大好きなフィンランド、オーロラの写真と出合うきっかけがあった。

フィンランドとの出会い

フィンランドでスノーモービル体験

フィンランドでスノーモービル体験

大学2年の時、ラジオで初めて聞いたシベリウスの「フィンランディア」。元気づけるような曲調に魅かれ調べると、独立運動をしていたフィンランド民族を勇気づける曲だと知り興味を持つ。その後、卒業旅行で立ち寄ったのを皮切りに、入社後も年末年始などを利用して10回以上フィンランドを訪れた。東京勤務の時にはフィンランド語まで習った。「シャイで優しい地元の人たち、じんわり温かいサウナ、何より初めてオーロラを見た時のこの世のものとは思えない美しさに感動してフィンランドが好きになりました」
追い続けているオーロラ。本人撮影

追い続けているオーロラ。本人撮影

オーロラを写真に残したい。言葉では表現できない微妙な色やそれが刻々と変化する様を写真で再現したいが、なかなか思うようにいかない。「狩り」をするように最高のタイミングを求めるうち、何度もフィンランドを訪れることになったと言う。

「名所なんてほとんどない土地でサウナに入り合間に読書をして、スノーモービルやトナカイのそりに乗り夜はオーロラを追う。仕事を離れたその時間は、何にも代えがたい大切な時間です」

公益の観点から何ができるか

大学時代に住んでいた仙台は、サービス業中心で大きな製造業が特になく中心地以外は主に農水産業、人口も減っていた。地域を活性化するには、お金の使い方によって何か可能性があるのではないかと考えるようになった。そこで公の利益、地域のためにという観点で仕事ができる現在の職場を選ぶ。入社当初、経済調査に携わる中で地域のことを学び自分の中で咀嚼(そしゃく)する大切さを知ったことは、今の原点だと振り返る。

「金融業は情報産業だと思います。企業の人とよく話をして工場やもの作り、販売の現場に行き、目で見て触って味わう。五感を通じて情報を得て心で理解した上でないと、いい提案もできないしアイデアも出てこない。本当にそれだけのことができているのか、日々自問しています」

積極的に地域と関わりたいと考える原さんには「若い世代が人と関わることに消極的」と映ることも。「一人で仕事はできないから助け合う。そのために隣の人が何をしているか知り、よく見て言葉をかける。適度なおせっかいを職場目標の一つにしています」

高松は「ひっそりした玉手箱」

フィンランド以外の気分転換は、クラシック音楽。特にモーツァルトの「レクイエム」には思い入れがある。未完のまま遺された作品の続きを何人かの作曲家が補作、それぞれの作曲家の作品を集めた上、違う指揮者のCDも集めていたら50枚ほどになっていた。
豊島にて。 「島の美しさが注目されていますが、 香川は空の青さと白い雲がキレイ」 

豊島にて。
「島の美しさが注目されていますが、
香川は空の青さと白い雲がキレイ」 

休日はもっぱら街歩き。自ら考えた高松のキャッチフレーズは「ひっそりした玉手箱」だ。「その気になればいろんなものが見つかるけれど、探さないと何も見つからない。駐車場の奥にパン屋さん、住宅街に突然焙煎コーヒー屋さん…商店街から少し外れた路地裏がおもしろいですね」

高松に赴任して1年余り。街を歩き、玉手箱の街から五感を使って宝物を探す日々だ。

原 幸宏 | はら ゆきひろ

略歴
1964年 9月 兵庫県生まれ
1988年 3月 東北大学法学部 卒業
1988年 4月 北海道東北開発公庫 入庫
1999年10月 日本政策投資銀行東北支店 調査役
2004年 3月 関西支店 業務課長
2007年 7月 法務・コンプライアンス部 次長
2008年10月 株式会社日本政策投資銀行
       法務・コンプライアンス部 次長
2012年 6月 審査部 担当部長
2014年 6月 地域企画部所属 参事役
2015年 6月 四国支店長

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