成功も失敗も、経験を増やして
自分の“好き”や“やりたい”を見つけてほしい

瀬戸内サニー 代表取締役社長 大崎 龍史さん/大手前高松中学・高等学校 教諭・広報部長 合田 意さん

Interview

2024.09.19

(写真左から)瀬戸内サニー 代表取締役社長 大崎 龍史さん/大手前高松中学・高等学校 教諭・広報部長 合田 意さん

(写真左から)瀬戸内サニー 代表取締役社長 大崎 龍史さん/大手前高松中学・高等学校 教諭・広報部長 合田 意さん

学校の授業だけじゃない“新しい時代の学び”のために、中高生をはじめ若い世代に向けてまわりの大人たちは何ができるのか――。その答えを探しながら様々な取り組みを行う教育現場、地元企業などのキーパーソンに、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使も務める瀬戸内サニー代表・大崎龍史さん(YouTuber)がお話を伺う企画を5回シリーズでお届けします。

進学、就職、その後の生き方……「こうやればいい」というモデルがなく、多様化している中で、生徒も大人も不安を感じている――。

合田(以下、合)大手前高松高校では、様々な地元企業の人に話を聞き、グループワーク、プレゼンなどを行う「プロジェクトToBe」に取り組んでいます。その目的は、地域の大人とつながりながら働くことについて考える、多様な価値観を知る、香川の魅力や地元にこんないい企業があると気づいてもらうことです。

瀬戸内サニーにお願いした動画編集の講座も、デジタルの世界で情報を“消費”するだけではなく、新しいことをクリエイトする“生産者”にもなれることに気づいてほしかったんです。

大崎(以下、大) 講座では新しい発想の見つけ方、何のために発信するのか、形あるものだけがものづくりではないと伝えることを意識しました。

瀬戸内サニーは、経済産業省が進める「未来の教室」プロジェクト実証事業者に採択されましたが、これからは学校だけではなくビジネス界から文化芸術まで様々な民間企業・団体が教育に関わって、生徒の視野を広げる必要があると思っています。

【合】 瀬戸内サニーの留学応援プロジェクトもいいですよね。

【大】「挑戦、好奇心、個性」を審査基準に公募者からオーディションで1人を選び、アメリカ・シリコンバレーへの留学を応援する企画で、2泊3日の最終選考合宿の様子を動画で配信しています。外の世界を知ることで自分を客観視する、香川の魅力に気づいてほしいと思っています。

【合】動画で見る生徒たちの成長に驚かされますし、学校では見せない顔があるんだ、と改めて感じています。

【大】興味はあるけど学校で言うと笑われるのでは、といった夢を受け止めてくれる場所が学校以外にあって、応援する大人が地域にいて――。そういう環境づくりのためにも、学校と企業・地域の連携は大切だと思います。

高度経済成長時代からの教育に対して課題を感じている部分もある?

【合】現場で何となく感じているのは「詰め込み―ゆとり」「偏差値―個性・活動実績」のように、二者択一論になりがちだなと。でもどちらも必要で、現在の入試も一般選抜と総合型選抜がある。生徒が自ら考えて選べる環境が大事ですよね。

【大】 総合型選抜でいうと、活動歴を残すためにとりあえず何かに参加するというのも……。そこには「あなたはどう生きたいですか」の視点が足りない気がします。

【合】今、いいキーワードが出た。「総合的な探究の時間」の学習指導要領では「自己のあり方生き方を考えながら、よりよく課題を解決し」とある。自分はどうありたいかを考えた上でテーマを選ぶということです。ただ、これが難しい。

生徒の大多数は「将来何をしたらいいのかわからない」。それが、少しでも何かに興味を持てるようになる、その機会や体験をできるだけ多く提供することを目指しています。
プロジェクトToBeの取り組み

プロジェクトToBeの取り組み

「答えはない」中で、まわりの大人たちは何ができるのか。

【大】自分の強みは何なのかを気づける教育も大切だと思います。

【合】今やっているのは、適性=好きなこと、だけではなく興味のないことも発見できる取り組み。興味ある動画をグループで発表する。人の発表を聞いて、自分は興味が持てない分野を自覚してもらうんです。

【大】学生のうちに、自分の情動や思考を客観的に捉えておくことは大事。「嫌いではない」分野なら仕事をしていく中で好きになるかもしれないし、努力できるかもしれない。私も最初はYouTube大好き!という感じでもなかった(笑)。

私が起業できたのは、大学時代に地域のおもしろい人たちとネットワークを築いていて応援してもらえたから。だから今度は、やりたいことが見つかった子に「こういう人がいるよ」とつないでいくことが自分の役割かなと思っています。

【合】先生も保護者も、生徒の幸せを願う思いは変わらない。ただ、その実現の手段は時代とともに変わってきていてアップデートが必要。何が正解かは分かからないからこそ、子どもたちの体験の多様性と、絶対量を増やすことが大切なんだと思います。

予告

2025年2月2日(日)「サニピッチ2025」開催
瀬戸内サニーが、社会人や起業家と話をしながら、自分の「好き」や将来について考えるイベントを開催。きっと楽しい1日になるはず。詳細は改めて。

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