ニーズを形にしながら
事業領域を広げ、成長する

現在は物流、建設、倉庫業、流通と事業領域が広いエフエーエスだが、始まりは住宅メーカーの工場からの出荷を管理して運送会社へとつなぐ事業。その後、トラックを導入して運送事業も始め、現場の職人とドライバー間のコミュニケーション、資材の受け渡しをスムーズに進める目的で、建設現場での基礎・組立工事も手掛けるように。「物流」と「建設」を融合させたスタイルは、現在の事業展開の原点となっている。

「物流と建設を行う会社は全国にいくつかありましたが、なかなか継続は難しい。当社も大変な努力をしてドライバーから大工さんになった人もいましたし、当時、必死に頑張ってくれた従業員さんたちが会社を支えてくれました」と現社長・内浪達也さんは話す。

会社の転機となったのは2008年のリーマンショック。急に仕事がなくなってしまった状況に、入社したばかりの内浪さんは危機感を募らせた。「9割以上を特定のメーカーからの仕事に依存している状況を何とかしなければならない」。そこで、営業として自ら提案して顧客を増やす、下請けではなく全国規模のメーカーと直接取引をするなど、受け身ではない事業形態を目指した。取引先が増えたことで新たなニーズの掘り起こしにもつながり、ただ物を運ぶだけではなく製品を預かって保管する「倉庫業」、建築資材を仕入れて販売する「流通」にも乗り出した。

事業を広げていくにあたって大切にしたのは、社内体制の整備や人材育成。内浪さんが社長に就任してからは就業規則の改定、給与体系の見直し、福利厚生の充実にも力を入れた。また、「社会が変化する中で多様な人材の様々な視点が新たな事業につながる」と考え、個人の特性や家庭の状況などに合わせて活躍の場が選べるなど、誰もが働きやすい職場環境への取り組み「虹ファス運動 !」も実行している。

次の新たな柱として考えているのは保険事業と有料職業紹介事業。万が一の事故、労災など物流や建設事業でつながりのある企業で何か困りごとがあれば提案できればという。エフエーエスの事業領域の拡大はゼロから新しいことではなく、今の事業を通して顧客の課題やニーズを見つけてそれを解決するために新分野に挑戦するのが基本。一歩ずつ着実に成果を上げながら成長を目指す。