地方から海外への挑戦を支援

日本貿易振興機構 地域統括センター長(四国) 香川貿易情報センター所長 岡田 春彦さん

Interview

2018.03.15

新潟県妙高高原町(現・妙高市)出身で、地元はスキー場のすぐ近く。新潟有数の豪雪地帯で、子どもの頃からスキーに親しんだ。「新潟は良いところですが、小さなまちで育ったため、外の世界への憧れもありました。どうせなら東京じゃなくて、海外に行ってみたいと思っていましたね」。大学で国際経済を学び、卒業後は当時の日本貿易振興会(現・日本貿易振興機構)に就職した。

ユーロの導入を間近で

ベルギーの世界遺産「ブルージュ」

ベルギーの世界遺産「ブルージュ」

念願かなって、これまでに海外勤務を3回経験。フランスとベルギーに駐在した。フランスでは、日仏間の投資交流、展示会支援などを担当。駐在中に、EUの単一通貨ユーロ導入も経験した。「EUの拡大やユーロの導入で、ヨーロッパ全体が盛り上がっているような時期でした。EUの深化を目の当たりにした気がします。国境検査も簡素化され両替しなくて済むので、便利になった、一つになったんだと実感しました」

ベルギーではEU情報の収集に加え大使館や関係省庁と協力して、日EU経済連携協定の交渉開始・妥結に向けた働きかけを行った。また、日本人会商工委員長として、日系企業のサポートにも尽力した。
ベルギー・ブリュッセルのビール祭り

ベルギー・ブリュッセルのビール祭り

「海外赴任では多様な文化に触れました。ヨーロッパは一括りに考えがちですが、各国に違った歴史と文化があり、アイデンティティーが確立されています。とても興味深く面白い場所です」

東京の本部では、2004年から役員の秘書を務め、当時の理事長だった渡辺修さんから多くのことを学んだ。渡辺さんは毎年数千枚出す年賀状に、必ず一筆添えていた。社内外問わず、いつ誰とどんな話をしたかも完璧に記憶していたという。「『人を大事にしなさい』『焦らず、怯まず、驕らず』とよく言われました。それは今でも心に留めて行動しています」

岡田さんは08年から福島事務所長を務め、ベルギー赴任の直前に東日本大震災を経験した。福島から出られない状態が続き、横浜に住む家族ともなかなか連絡が取れなかった。「福島では震災、ベルギーでは最寄駅での爆破テロを経験しましたが、いろんな方に助けられて何とかやってこられました。人の支え、つながりは大事だなと思いますね」

香川や四国をブランドに

今年1月、香川に赴任。渡辺さんが高松高校のOBで、香川の良さをよく聞いていた。「話の通り、風光明媚でご飯がおいしい。素晴らしい場所ですね。海がすぐ近くにあるという環境で暮らすのは初めて。フェリーで出張に行くという経験も新鮮です」

休日はまちを歩いてお店や美術館などを訪ね、いろいろなものを見聞きするようにしている。「たくさんの人に会いたいですね。まず情報収集をして、自分にできることは何なのか考えたい。近頃は東京や大阪を介さずに、地方都市から直接海外市場に挑戦したいという企業が増えています。香川や四国をブランドとして海外に発信するお手伝いができたら」(鎌田 佳子)

岡田 | 春彦 おかだ はるひこ

1962年 新潟県妙高高原町(現・妙高市)生まれ
1980年 新潟県立高田北城高校 卒業
1985年 中央大学経済学部国際経済学科 卒業
    日本貿易振興会(現・日本貿易振興機構)入会
1993年 パリ事務所員
1998年 海外調査部欧州課 課長代理
1999年 リヨン事務所長
2004年 秘書室長
2007年 産業技術部 先端技術交流課長
2008年 福島事務所長
2011年 ブリュッセル事務所長
2016年 企画部 総括審議役
2018年 香川貿易情報センター所長

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