物と人、人と人をつなぐ

CONNECT 代表 髙木 智仁さん

Interview

2018.03.15

デンマークの学生がリノベーションに携わった丸亀市綾歌町の空き家で

デンマークの学生がリノベーションに携わった丸亀市綾歌町の空き家で

デンマークを中心とした北欧の家具と雑貨を販売する丸亀市綾歌町のCONNECT(コネクト)。空き家のリノベーションだけでなく、海外に向けた観光情報の発信なども手掛けている。

代表の髙木智仁さん(40)はレコードが好きで、学生時代に一人暮らしの部屋でよく聴いていた。「床に体育座りをして聴くのは変だな、レコードが合う部屋にしたいと思ったんです」。ゆったりと座れるソファやレコードを飾るラックを求めて、量販店や高級家具店などを訪れるようになった。

その経験から家具に興味を持ち、インテリアメーカーに就職。東京の営業職に配属された。好きな家具に携わる仕事は楽しい反面、取引が成立する大きな要因は、納期が早いことと金額が安いことだと気が付いて、空しさも感じた。「使う人には家具が持つストーリーや、デザインに込められた思いを知ってほしい」。退職を決めた。

2005年に地元の綾歌町に帰り、両親が営む贈答品の販売会社・ロワール商事に入社。贈答品はお祝いよりもお悔やみに使われることが多く、「人が減り、子どもも少ないこの場所はどうなっていくんだろう」と不安を覚えた。「綾歌が面白い場所になれば、人が集まるかもしれない。チャレンジャーがたくさんいる場所にすればいいんじゃないか」。そんな考えから、新たな挑戦が始まった。
CONNECTの店内(撮影:井上真輔)

CONNECTの店内(撮影:井上真輔)

従来の贈答品の仕事も続けながら、06年に自分でウェブサイトを立ち上げて北欧の家具と雑貨の販売を開始。前職で様々な家具を扱ったが、北欧家具とりわけデンマーク家具は日本人に合うと感じていた。いい物を長く使うデンマーク人の堅実な暮らしぶりが、日本人と似ているという。

07年には実店舗をオープン。物が人と人をつなげる、いい物を次の世代に伝えるという意味を込めて、店名をCONNECTにした。口コミで少しずつお客さんが増え、今では県外から来る人も珍しくなくなった。
空き家リノベーションプロジェクトに 参加したデンマークの学生たち (撮影:井上真輔)

空き家リノベーションプロジェクトに
参加したデンマークの学生たち
(撮影:井上真輔)

家具の買い付けでデンマークを訪れるうちに、人脈もできてきた。ある時、デンマーク王立芸術アカデミーの教授から「学生の研修を受け入れてくれないか」と相談を受けた。「学生が主体的に行うなら」と、受け入れる準備を始めた。丸亀市内に増える空き家をどうにかしたいとの思いもあり、空き家を舞台にしたリノベーションプロジェクトを行うことに。

17年9月から12月まで、2人の学生が綾歌町に滞在した。学生たちはどんな家にしたいのか具体的に考え、模型を作成。解体や改修などの作業も行った。「これからも定期的に学生を受け入れたい。改修した空き家は、訪れた人が古民家リノベーションの良さを体感できる宿泊施設にしたいと考えています」。丸亀市の本島でもリノベーションプロジェクトが進行中だ。

髙木さんはCONNECTを中心に、地元の工務店とともに建築を手掛ける「CONNECT HOUSE」、丸亀市の遊休不動産の活用を提案する「port360」、北欧にむけて観光・旅行情報を発信する瀬戸内6県のネットワーク「STATESIX」などの組織も立ち上げている。「今後、商品を仕入れて売るだけの商売は正直厳しい。地域色を打ち出すことで勝負できると思う。地方でもいろんなことにチャレンジできると証明したい」。CONNECTから生まれるつながりは、海を越えて広がっていく。

鎌田佳子

髙木 智仁 | たかぎ ともひと

1977年 丸亀市綾歌町生まれ
1996年 坂出高校 卒業
2001年 桃山学院大学 卒業
    インテリアメーカー 入社
2005年 有限会社ロワール商事 入社

CONNECT(コネクト)

住所
丸亀市綾歌町富熊428-1
TEL.0877・85・9717
営業内容
家具と雑貨の販売、
インテリアコーディネートなど
営業時間
月~土曜日10~18時
定休日
日曜日
地図
URL
http://www.connect-d.com/
確認日
2018.03.15

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