最初に携わったのは、公庫の融資基準を満たしているかどうかを、図面を見てチェックする仕事。柱の太さや断熱材の施工など、建築基準法より少し高い基準を設けてクリアした住宅に融資する。融資することで、性能のいい住宅が全国で何十万戸という規模で増えていく。「うちの会社の影響もあって日本の住宅全体が底上げされる。それが、社会を変えることにつながっていると思うとおもしろかったですね」
時代の変化を間近で
2つめは、初めて管理職になり、出向先で住宅の瑕疵(かし)保険(※)の業務を行ったこと。在籍中の2005年に、マンションの耐震偽装問題が起こった。これをきっかけに、当時は任意だった瑕疵保険等を法律で義務化することになり、国が行う法律制定作業に関わることとなった。「あの時は本当に忙しくて寿命が縮まる思いでした」。ただ、その時一緒に苦労したメンバーとは、いまでも年1回程度飲み会を開いている。「大変でしたが、いい仲間ができました」
単線ではなく複線で
大変な仕事を経験した中で思うのは、目の前のことだけにとらわれないこと。例えば、省エネ住宅1000戸つくるという目標に対し、数字に一喜一憂するのではなく「日本の省エネルギー性能を上げる」というふうに捉える。すると視野が広がり、目標達成に向けて息の長い取り組みができるという。「先輩に教えられた考え方です。志を高く持てば壁にぶつかっても気持ちを切り替えて乗り越えられる、そう思えるようになったことで今の私があります」 (石川 恭子)
松村 収 | まつむら おさむ
- 1965年 大阪府生まれ
1984年 兵庫県立長田高校 卒業
1989年 大阪大学工学部環境工学科 卒業
住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構) 入庫
2008年 業務推進部営業推進室推進役
2010年 近畿支店営業推進第一グループ長
2014年 CS推進部住宅技術情報室長(併任)
技術情報グループ長
2015年 審査部住宅審査室長
2017年 CS推進部長
2018年 四国支店長
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