香川で働き暮らし続けられる環境をつくる

株式会社アクティブ 常務取締役 大谷 元春さん

Interview

2018.08.16

業務用の冷凍食品をカタログ販売するアクティブ(高松市)は、1998年の設立から20期連続増収を達成している。常務取締役の大谷元春さん(32)は「独自のシステムが一番の強み」と話す。冷凍食品の製造業を営んでいた大谷さんの父が、仲間と立ち上げた同社。創業メンバーの中にいた電機メーカー出身者が、受注や出荷、在庫管理のコンピューターシステムを一から作った。

現在はシステムエンジニアが在籍し、内容をブラッシュアップしている。「食品の卸売業でここまでシステムを作りこんでいる会社は珍しいのでは。『他社に販売したらどうですか』と言われることもあります」
カタログを年2回、季節の商品や新商品を紹介する チラシは月2回発行している

カタログを年2回、季節の商品や新商品を紹介する
チラシは月2回発行している

北海道~鹿児島の100社以上から商品を仕入れ、年間で飲食店や宿泊施設など1万6千社に販売している。高松市の本社にコールセンターを置いて受注、観音寺市の配送センターで商品の管理と発送を行う。揚げ物や煮物、デザートなど常時800~900品を扱うが「在庫はできるだけ絞りながらも欠品しないことを目標にしています」。これまでの売れ行きなど蓄積されたデータと、業務に即した独自のシステムがあるからこそ実現できる。

自社商品の開発にも力を入れ、年間30品ほどを新発売している。今夏はゼリー状の和風だし「海老とオクラのレモンジュレ」が人気だ。社内のキッチンで開発チームが試作し、お昼にスタッフみんなで食べながら感想を言い合うことも。
本社1階のフリースペースでコールセンターの研修。 奥のキッチンではカタログの撮影中

本社1階のフリースペースでコールセンターの研修。
奥のキッチンではカタログの撮影中

人口が減少すれば食品の需要も落ちるのではと考えがちだが、大谷さんは「冷凍食品の需要は高まっていく」という。「この5年で『冷凍食品いかがですか』と電話をしたら『うちは手作りなので』と断るお店が減ってきました。人手不足のお店にとって、解凍するだけで一品できるのはすごく便利。おいしいので、食べても冷凍食品かどうか分からないと思います」

仕入れ先の新規開拓、新商品の開発を続けてきたが、近ごろでは食品業者から「うちの商品を扱ってくれないか」「一緒に商品を作りませんか」というオファーも増えている。

大谷さんは高専を卒業後、アメリカなどでの生活を経験し、25歳でアクティブに入社。現在社長を務める母のゆかりさんから、ゆくゆくは経営を引き継ぐ予定だ。いずれ、アクティブを中心にホールディングス化したいと考えている。コールセンターと配送センターをそれぞれ別会社にして、他社の仕事を請け負う構想もある。

「常にどんな仕事も楽しくできるよう考えている」という大谷さんは、入社から今まで一度も仕事が嫌だと思ったことがないという。何のために働くのか。答えは「スタッフの幸せのため」だ。「売上の拡大から経営の継続へ目的がシフトしてきました。会社が成長し続けることで、スタッフの暮らしと幸せを守りたい」

生まれ育った香川県への愛着と感謝もある。「進学や就職で地元を離れる人が多い。地方都市では働き口が少ないという声も聞きます。生まれ育った地元で働き暮らし続けられる。そういう環境をつくっていきたい」

鎌田佳子

大谷 元春 | おおたに もとはる

1985年 観音寺市生まれ
2006年 詫間電波工業高等専門学校 卒業
    (現・香川高等専門学校詫間キャンパス)
2010年 株式会社アクティブ 入社

株式会社アクティブ

住所
香川県高松市林町2548-1
設立
1998年
売上
30億円(2018年3月)
本社
高松市林町2548-1
配送センター
観音寺市室本町1325-63
地図
URL
http://www.active-pro.jp/
確認日
2018.08.16

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