高松vs松山 ビミョーな関係

四国なんでも88箇所巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

column

2016.06.02

2040年になると四国の人口は300万人切りが予想され、そろそろ一つの行政ユニットとしてまとまっていかないと、小松左京の小説のように沈没の危機が迫ってきます(確か最初に壊滅して通信が途絶えるのは高知県。いの一番に海中に没するのは沖縄ではなく四国であったはずです。リアルです)。

この期に及んで蝸牛角上の争いをしている場合ではないのですが、いろいろな団体や業界を中から見ていますと、まだまだ都市間の主導権争いが垣間見えます。高知と徳島は既に勝負を降りて我が道を行っている感があります(笑)が、高松と松山の間には、呉と越、項羽と劉邦、ジョーと力石、ケンシロウとラオウのように、いまだに何かにつけて宿命のライバルの不倶戴天の火花が飛びかっております。

人口では高松42万<松山52万、かたや雇用都市圏は高松>松山。大学の数で高松<松山、私立高校の数では圧倒的に高松<松山、県内総生産/人で高松>松山、駅の乗降客数で高松駅<松山市駅。「生活ガイド.com」の住みたい街ランキングでは高松<松山(5年連続)。

国の出先はいまだ大多数が高松にありますが、総務省通信局や郵政、NHK、NTT等の情報系は松山に四国の重点を移しています。しかし高松も負けてはいません。自動車通勤の割合、ニューヨークへの直線距離の近さ、讃岐うどん店の数(笑)・・・と無理やりサーチしたらまだまだ勝てるデータは出せますが、ひょっとしてもう勝負は見えていますか?

じゃあ住んでいる我々市民の感覚からしますと「大義(=昔の四国の玄関)は高松にあり最後に正義は必ず勝つ」と頑なに信じている高松と、「いちおーあんたを立ててあげるけど」と余裕かましまくりの松山というような風でしょうか。巨人とソフトバンク、少年ジャンプとマンガ読まない人たち、PCとスマホ、フェイスブックとインスタグラムといったような微妙な位置関係に見えているのは私だけでしょうか。四国内での話し合いでは、表立った対立にはならないものの暗黙の了解で高松を立ててくれているような気がします。こういうところが日本の田舎の良いところ。譲り合いの精神と先代へのリスペクトですね。

しかし、おそらくこの譲り合い、徳島と高知からは「どっちでもええから、はよう話をすすめてくれんかいの」と思われとると思います(笑)。お互いを結ぶ新幹線つくってはよう一つにならんとかんですね。

四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

略歴
1960年4月5日 高松市生まれ
1979年 高松高校 卒業
1984年 早稲田大学政治経済学部政治学科 卒業
    株式会社西武百貨店 入社
1986年 株式会社久本酒店 入社
1992年 代表取締役社長 就任
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四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

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