静電気とコラーゲン卵の不思議な関係 ~ワクモ(ダニ類)防除の特許技術~

香川大学農学部 松本研究室 ダニ類捕獲装置「i-Trap(アイ・トラップ)」

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2017.04.06

きっかけは偶然だった。松本由樹(よしき)准教授(当時医学部)と工学部の友人が、別の研究調査のため大学の鶏舎に入った。すると、松本さんの防護服にはダニが付いたが、友人のスーツにはほとんどダニが付かなかった。その理由を追究するうち「ダニが静電気に集まる」という行動特性を発見。実家が電子部品を扱っている友人は、常に帯電しない服装を心掛けていたのだ。

今、人間の病気の中には、薬が効かない感染症が増えている。同じようなことが養鶏の世界でも起こっている。薬を使いすぎると耐性のある害虫が発生する可能性が高まる。しかし、害虫が発生した鶏舎の鶏肉や卵の品質、安全性も心配。この悪循環を、違う視点から解決する画期的な装置が香川で開発された。静電気を活用した「i-Trap」だ。

企業と共同開発した特殊なウレタンにダニを集めることで、薬剤に頼らず捕殺できる仕組み。石田高校との実証実験では、鶏のワクモ(ダニの一種)被害が激減したほか、産卵率アップへの新発想にもつながった。さらに思わぬ結果も―。ダニのストレスがない環境で育った鶏肉や卵には、コラーゲンが多く含まれていることが数値的に実証されたのだ。

松本准教授は言う。大学の使命は「生産者が薬剤を使いたくない時、消費者が高くても薬剤を使わない環境で育った鶏肉や卵を食べたいと思った時、こういう選択肢もあると提示できるツールを研究することだ」と。三木町では、商品化された「i-Trap」を鶏舎に置き、そこで生まれたおいしい卵を特産品にする計画がすでに進んでいる。

特許
「i-Trap」は日本、アメリカ、ヨーロッパで特許取得
Japan 5690986, 5660480
USA: US9510583
Europe: 14743512.7

お問い合わせ:TEL:087-891-3057
HP:http://www.ag.kagawa-u.ac.jp

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