
日本のコーヒー店はシアトル系のチェーン店から、マスターがエスプレッソマシンを使わずに一杯ずつハンドドリップで淹れる店まで幅が広い。そして歌声喫茶、ジャズ喫茶、純喫茶、画廊喫茶さらにはゲーム喫茶、メイド喫茶まで何でもあります。歌になった喫茶店を思いつくまま上げても、たとえば高田渡が歌った京都の「イノダ」、早川義夫の新宿にあった「風月堂」、西岡恭蔵の大阪難波にあった「ディラン」などいくつもあります。
ドナルド・リチーは、喫茶店は「海外のイノベーションがすぐに日本的になるのを最初に見られる場所である。音楽喫茶ではじめてシェーンベルクを聴き、芸術喫茶ではじめてジャコメッティの作品を鑑賞し・・・そこにはさまざまな外国文化のかけらが置かれている」と言いました。
この本は日本における喫茶店の歴史と社会との関係性を詳しく読み解いていきますが、個人的には本と喫茶店はとても相性が良く、買った本をその帰り道に喫茶店で読む楽しみは格別です。
宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん
- 坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。 - 写真
宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん
おすすめ記事
-
2023.02.16
神経症的な美しさ アウトサイダーが見た日本
著:モリス・バーマン 訳:込山宏太/慶應義塾大学出版会
-
2023.01.05
文庫版 惹句術 映画のこころ
著:関根忠郎、山田宏一、山根貞男/ワイズ出版
-
2022.12.01
新地方論 都市と地方の間で考える
著:小松 理虔/光文社
-
2022.10.20
ウォーカブルシティ入門
著:ジェフ・スペック/学芸出版社
-
2022.09.01
韓国の変化 日本の選択 -外交官が見た日韓のズレ
著:道上 尚史/筑摩書房
-
2022.08.04
自動車の社会的費用・再考
著:上岡 直見/緑風出版
-
2022.06.16
映画を早送りで観る人たち
著:稲田 豊史/光文社
-
2022.05.05
低空飛行
この国のかたちへ著:原 研哉/岩波書店
-
2022.04.07
土地は誰のものか
人口減少時代の所有と利用著:五十嵐 敬喜/岩波書店
-
2022.03.03
デジタル社会の地図の読み方 作り方
著:若林 芳樹/筑摩書房
-
2022.02.03
嫌われた監督
落合博満は中日をどう変えたのか著:鈴木 忠平/文藝春秋