
高松市西ハゼ町の四国牛乳輸送株式会社は、森永乳業などの乳製品やコンビニエンスストア商品の輸送を請け負う。
150台のトラックが、製造元から販売店へと走り、今日もあなたのまちへ「おいしい」を届ける。
四国の物流を担う
「『餅は餅屋』と考え、食品を中心に運送事業を展開しています。安定した輸送がお客さまの信頼を生み、利益につながるのでは」
温度管理を必要とする食品。「あれもこれも」ではなく、専門性を高めることが社業発展の秘けつだ。
当たり前をこなす
「マニュアルを100%実行できればお客さまの満足度は高いでしょう。私たちの強みは食品輸送の品質。容器の変形や破損があったのでは、店頭に並べられません」。スピードを出さない、信号を守る、シートベルトを締める…基本に忠実であることが原則だ。
「ISOを取得しました。さらにうまく活用していくため、社内にISO推進委員会を組織。月に1度、会を設けました。意見を出し合うことで、それぞれの部門で何をしたらいいのか明確になりましたね」
他社との差別化は―。「需要以上に運送業者がおり、過当競争の状態です。仕事を確保、維持するためには『提案力』が必要でしょう。アピールの手法や付加価値をどうつけるのかが今後の課題ですね」
変革期の訪れ
12年ほど前、森永乳業以外のメーカーも扱うように。明治乳業や江崎グリコの製品を配送している。四国内の流通にとどまらず、香川から全国へ向けても事業を展開。「地元食品メーカーのうどんやコロッケなど冷凍食品を運んでいます。北は仙台、南は鹿児島までカバー。大型トラック35台が全国を走ります」
暮らしの中で身近なコンビニエンスストア。この商品も、四国牛乳輸送が運んでいる。「ミニストップの商品配送を受託しているんですよ。一部の商品を除いて自社の倉庫に保管しています。庫内には、常温保管できるスペースと冷蔵庫があり、一括で管理できるんです。ここから四国4県のミニストップへ配送しています。今年11月には、高松市内にもう1カ所倉庫を建設する予定です」
効率よく運ぶ

「全国のトラックショーにも参加しました。庫内の温度をマイナス40℃まで保てる車両を開発している業者もあります。そういったところと共同して発展していければ」
先の読める企業に

四国牛乳輸送のあるべき姿とは―。「やはり今後も食品輸送に特化していきたい。『四国牛乳輸送だったら任せられる』と言われることが目標。高齢化が進むと、食品の消費が少なくなってくるでしょう。そうなると輸送も影響を受けます。四国の市場だけで勝負するのでは、厳しい時代が来るかもしれません。長期的ビジョンを持つのと同時に、1年後の日本経済を的確に予測することが必要ですね」
現在社長を務めるのは、来代さんの父。「社長は知識が豊富で情報収集を欠かしません」。尊敬する背中を見つめながら、その目は日本全国をターゲットに捉えている。
来代 啓介|きただい けいすけ
- 略歴
- 1974年 高松市出身
1993年 高松北高校 卒業
1996年 四国牛乳輸送株式会社 入社
2006年 取締役室長
2016年 代表取締役社長
四国牛乳輸送株式会社
- 住所
- 香川県高松市十川東町2017-1
- 代表電話番号
- 087-814-6612
- 設立
- 1956年4月13日
- 事業内容
- 常温から冷凍までの食品輸送
四国内の配送・北海道沖縄を除く全国輸送 - 資本金
- 1560万円
- 地図
- URL
- http://yongyu.jp/
- 確認日
- 2021.03.18
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