信念を持てば、脳の潜在パワーが成功のメカニズムを作る!

富士産業 代表取締役 岡田 吉朗さん

Interview

2008.05.07

毎月25日は車で静岡から鹿児島まで行商に出る。会社に戻ると手形決済や資金繰りが待っている。また行商に。借金は一向に減らない。夕日が沈むのを見て、いつまでこんな苦労が続くのかと声を出して泣いた。「営業成績があがらない」と社員に罵声を浴びせたこともあった。
「利を求めず人のために尽くせ」…先祖の声に、夢枕の弘法大師に、生死の境をさ迷う臨死体験で生きかたを学んだ。科学的根拠のある自然素材で養殖用飼料から医薬部外品、健康食品などを開発販売、今年40周年を迎える富士産業(株)代表取締役の岡田吉朗さんは「人のために情熱・信念・行動で尽くせば不可能が可能になる」と悟った。80歳の岡田さんは今も夢に挑戦し続ける。

感謝する心を持て。代償を求めず人のために尽くせ

1954年 事業を始めた時に250万円を騙されて苦労が始まった。「1962年7月、実家の火事で姉が焼死、そのショックで10月に母親が亡くなりました」。貧乏のどん底で歯を食いしばりながら働いた。負けてなるかと儲け話に飛びついて騙された事は一度や二度ではない。

1977年6月 ある人物の言葉を借りて400年昔の先祖の声を聞いた。「人に求めることばかり考えるな。もっと人に感謝する心を持て。代償を求めず人のために尽くせ。そして焼死した姉と先祖の霊を供養せよ」と諭された。毎日仏壇の前で手を合わせ、先祖や亡き母、姉を供養し営業に出る社員の無事を願った。

水産養殖へ、薬用入浴剤へ

心のありようで社員も変わった。活路が開けてきた。
1976年 畜産用混合飼料から水産養殖分野へ進出。「B1欠乏症で養殖魚が死んでいたのが『ビタリック』でピタリと止まりました」。
養殖業者が風呂に入れたら肌がつるつるする。臭いが何とかならないかと言ってきた。ひらめいた。「あの嫌なにおいさえ取れば入浴剤になる」。
しかしにおいを消すと効き目がない。行き詰った時、弘法大師が夢枕に立ち「唐から持ち帰ったニンニクで冷えと病に苦しむ者を救え」。励まされて何が何でもにおいの壁を破ると決意した。
低臭にんにく成分配合入浴剤が武田薬品の目に留まって共同開発へ。「アトピーの症状緩和」の学会発表が1989年9月29日の朝日新聞に載って薬用入浴剤「シャンラブ」が大ヒットした。

「カイアポ」で奇跡が起きた

1992年 本社社屋が完成したがバブル崩壊で「シャンラブ」の売り上げが急落した。
武田薬品からただ同然で譲り受けた健康衣料の通販事業も、ブランドが富士産業に変わっただけで効き目が無いと言われて在庫の山。1年間で5億円を超える損失が出た。「ビタリック」も低迷して倒産寸前に追い込まれたが「そのとき奇跡が起きた。武田薬品から譲り受けた通販ルートで売り始めていた『カイアポ』が軌道に乗ったのです」。7年後月間売り上げは3億円を超えて通販は富士産業の基幹事業になった。
1954年 養鶏用にんにく乾燥粉末の製造販売を始める。飼料に混合する栄養剤として、価格も安く品質も良いので畜産業者に喜ばれたが売り上げはあまり伸びなかった。

1967年 京都衛生研究所 藤原邦達博士の指導で、日本で初めてにんにくの液状化に成功。翌年畜産用混合飼料「ビタリック」発売。

1981年 岡田さんの叔父一美さん(ブラジル移民)からブラジル原産のカイアポ芋を入手、商品化へ試行錯誤が始まった。

1987年 香料によるマスキングとセラミック膜濾過処理などの特殊技術で低臭にんにく開発。薬用入浴剤「讃岐まんのう・湯」発売

1988年 武田薬品と共同開発の薬用入浴剤「シャンラブ」発売。

1995年 「カイアポ」発売開始。15 年間研究を積み重ねて動物実験や臨床試験(滋賀医大)で血糖値の低下を確認。翌年通信販売事業開始。

「社員とともに」夢を実現させたい

「今年80歳で創立40周年。必ず良いことが起きる」。予言が当たった。去年8月、香港に拠点を置く「ワトソンズ」と取引が決まって富士産業香港を設立。また中国での通販事業の話も舞い込んだ。CM契約の縁でミュージシャンの「ガクト」ブランドの化粧品製造も契約できそうだ。アメリカで「カイアポ」を販売する計画も進んでいる。

「人のために情熱・信念・行動で尽くせば不可能が可能になる。これまで何回も体験しました」。必ず出来ると信念を持てば脳の潜在パワーが成功のメカニズムを作る。奇跡は必ず起こる。「家庭を幸せにする『美容と健康』を世界に広げるため挑戦を続けます」。

社員とともに夢を実現させたい。生かされた命を人のために尽くそう・・・岡田さんの仕事はまだまだ続く。

※ (ワトソンズ)
世界最大のドラッグストアーチェーンを展開する企業
◆常識を超える発想力と実現力
しみの無いつやつやの肌。岡田さんは80歳の老人ではなかった。病気になるたびに健康補助食品開発を思いつき、地道な実証と緻密な戦略で事業化した。淡々とした口調から言葉にしがたい苦労を匂わせることはなかった。

◆長男で専務取締役 岡田篤典さんの話
子供のとき叱られた記憶がありません。家でも会社でも、最後は何とかしてくれる人です。しかし社長の感覚的な発想を、組織が具体化するには苦労もあります。社長個人の力だけでは限界があるし、頼っていては組織が育たない。通販事業の大きな柱になった女性用育毛剤「リリィジュ」は研究所独自の発想で商品化できました。大手企業が手掛けにくい特許性があるものを、私たちの組織力で開発、商品化する必要があります。

岡田 吉朗 | おかだ きちろう

略歴
1927年 10月 香川県仁尾町生まれ
1945年 3月 旧制三豊中学卒業
1945年 4月 豊国産業(株)入社
1954年 8月 個人創業
1968年 8月 日生産業(株)設立 代表取締役就任
1970年 5月 富士産業(株)に社名変更 代表取締役

富士産業株式会社

住所
香川県丸亀市田村町1301
代表電話番号
0877-25-3111
設立
1954年
社員数
245人
事業内容
1.医薬部外品製造・販売 2.健康補助食品製造・販売 3.化粧品製造・販売 4.水・畜産動物用飼料、飼料添加物製造・販売 5.水・畜産動物用薬品販売 6.水産用種苗販売 7.通信販売事業
「カイアポ」以降の歩み
1998年 「古家のにんにく」発売

1999年 「キャベファイン」発売
    「すこやか 創刊号」発刊

2002年 桐の葉エキスを配合した女性用薬用育毛剤
    「リリィジュ」発売

2004年 化粧品「美CELLシリーズ」、健康補助食品
    「エストロール」、「コタラヒム」発売

2005年 中国酢のトップブランド東湖の老陳醋を使用
    した「老陳醋シリーズ」発売

2006年 通信販売ブランド「ウェルベスト」、「エク・
    サナス」スタート

2007年 Fuji Sangyo Hong Kong Ltd. 設立
地図
URL
http://www.fuji-sangyo.co.jp
確認日
2008.05.07

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