上場企業の約6割で女性役員ゼロ

2019年3月期決算上場企業女性役員比率調査 東京商工リサーチ

Research

2019.09.19

上場企業2,316社の2019年3月期決算の役員総数は2万6,664人(前年同期2万6,835人)だった。このうち、女性役員は1,319人(構成比4.9%)で、前年同期(1,031人)より288人増加し、女性役員比率は1.1ポイント上昇した。

※本調査は東京証券取引所など、すべての証券取引所に株式上場している企業のうち、19年3月期決算の企業を対象に各企業の有価証券報告書の役員状況に記載されている男性・女性の人数を集計、分析した。本調査の「役員」は、「会社法上の取締役、執行役および監査役など」とした。

女性役員ゼロは1,336社

女性役員が一人もいない上場企業は1,336社(構成比57.6%)で、前年同期1,522社(同65.7%)から社数は186社減少し、女性の役員登用への動きは少しずつ進んでいる。

女性役員比率が前年同期より上昇したのは484社(構成比20.8%)。一方、低下は170社(同7.3%)。前年同期と同比率は1,662社(同71.7%)で、全体の7割を占めた。

最高は金融・保険業

産業別の女性役員比率で、最高は金融・保険業の7.4%。次いで、電気・ガス業7.2%、水産・農林・鉱業6.4%、サービス業6.3%と続く。女性役員比率が最高だった金融・保険業は、役員総数2,105人(前年同期2,147人)のうち、女性役員は156人(同126人)を占めた。

産業別の女性役員ゼロは、最高が建設業の64.4%(121社のうち78社)。女性役員比率は3.3%にとどまり、他産業に比べ女性登用に厚い壁が立ちはだかっている。

光ハイツ・ヴェラスが最高

女性役員比率を企業ごとにみると、最高は札証アンビシャス上場の光ハイツ・ヴェラス。同社は北海道で老人介護ホームを運営し、役員総数7人のうち、半数を超える4人が女性。2位は自然化粧品の開発・製造・販売を手がけるJASDAQ上場のハーバー研究所(役員総数8人、女性役員4人)、スキンケアなど高級化粧品の製造販売を手がける東証1部のシーボン(同10人、同5人)が各50.0%。女性役員比率の上位3社は、ともに事業内容から女性の役員登用に積極的な社風になっている。

19年3月期決算の上場企業では女性役員比率は5%に満たず、約6割の企業で女性役員がまだゼロとなっている。女性の社会進出が言われて久しいが、女性役員の登用が単なる数値目標でなく、適材適所により客観的に促進されることで、ダイバーシティ(多様性)への対応が進むことが期待される。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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