統計に見える讃岐の食文化

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸

column

2019.09.19

香川県では温暖な気候を利用し、春先のエンドウ豆に始まり、ソラ豆、インゲン豆、小豆、大豆と、春から秋にかけて様々な豆が栽培され、食卓を彩っています。豆は未成熟の状態では野菜として利用でき、収穫期を逃しても乾燥豆にすることで保存食としても活用できるという、とても使い勝手の良い作物でもあります。

もう一つ、豆の利用形態として忘れてはならないのが、大豆加工品、中でも油揚げの存在です。「昔は油揚げすらも高級品であったため使われなかった」とのエピソードも伝えられますが、讃岐の郷土料理には、「押し抜き寿司」や「ばら寿司」などの「ハレ」の料理と、「まんばのけんちゃん」や「しっぽくうどん」など「ケ」の料理との区別なく、油揚げが活躍しています。油揚げなしでは、讃岐の郷土料理は成り立たないほどの存在感があります。

「家計調査(総務省統計局)」を見ると、香川県では、果実加工品、干しシイタケ、海藻類など、「乾物や加工品」の消費量が軒並み低い中で、油揚げの消費量は全国的にも高い順位にあります。一年を通して温暖で、季節ごとの食材が手に入るため、原材料に近い食材を使ってレシピが構成されている裏付けでもあるでしょう。

また、加工品の中でも、さつま揚げ、漬物、こんにゃく、油揚げと、全国的に高い順位にある品物を列挙してみると、いわゆる一般的な讃岐の食卓の風景が連想されることにも、統計と食文化の関連性を感じることができます。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

写真
野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ