無借金率トップは高知

全国の無借金企業8万4,000社調査 東京商工リサーチ

Research

2019.10.03

東京商工リサーチの保有する2018年(1~12月期)以降の約34万社の財務データで、借入金のない「無借金企業」は全国で8万3,978社(構成比24.4%)あることがわかった。

※本調査は、貸借対照表の長短借入金、社債の項目がゼロの企業を「無借金企業」と定義し、抽出した。

無借金率は「西高東低」

地区別の無借金企業数は、最多が関東の2万5,713社(構成比30.6%)。九州1万3,410社(同15.9%)、近畿1万1,998社(同14.2%)と続き、四国は4,188社(同4.9%)だった。各地区の企業数を母数として算出した無借金率はトップが九州の28.0%。以下、四国27.9%、中国25.9%など、西日本地区が上位に並び「西高東低」の実態が浮かび上がった。

無借金企業数 香川27位

都道府県別の無借金企業は、最多が東京の1万82社(構成比12.0%)。2位大阪5,411社(同6.4%)、3位北海道4,319社(同5.1%)、4位福岡4,101社(同4.8%)、5位埼玉3,844社(同4.5%)と大都市を抱える都道府県が上位に並んだ。香川は1,129社で27位。

無借金率のトップは高知(31.6%)で、全国平均(24.4%)を大きく上回った。工業統計調査(経済産業省)によると、高知は製造品出荷額が全国で2番目に少ない。資金需要が旺盛な製造業の比率が低く、建設業も公共工事が中心で「前受金などを利用して自己資金で回せる業者が多い」(地元建設関係者)との指摘もある。香川は27.4%で13位だった。

「サービス業他」が最多

無借金企業数の産業別では、最多がサービス業他で3万8,537社。次いで、建設業2万7,554社で、上位2産業で全体の約8割を占めた。以下、卸売業、製造業と続く。

無借金経営は、優良企業の代名詞でもある。信用向上や利息支出のないメリットもあり、多くの経営者が目標の一つにしている。ただ、企業の成長のうえでは金融機関からの借入金など、他人資本の導入が欠かせない側面もある。金融機関との良好な関係を維持し、必要に応じて資金調達できる体制作りは経営のセオリーでもある。

9月2日に財務省が発表した法人企業統計で、18年度の利益剰余金は446兆円を超え、7年連続で過去最大を更新した。これは企業の資金需要の停滞を示唆しており、金融機関の存在意義にも関わってくる。企業と金融機関を取り巻く関係は今後、大きく変容する可能性をはらんでおり、無借金企業の動向は、企業の将来像を示すバロメーターとして注目すべき指標でもある。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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