健康志向に応え、高付加価値商品を目指す

油切れの良いパン粉/サヌキフーズ

Topic

2019.12.05

パン粉を製造し冷凍食品メーカーなどに販売しているサヌキフーズ(三豊市)が、油切れの良いパン粉を開発した。手掛けたのは代表取締役社長の小谷久さん。

きっかけになったのは、小谷さんが1991年に読んだ論文だった。「小麦粉に食物繊維を混ぜてドーナツを作ると、油切れが良い(吸油率が低い)という記事でした。ドーナツでできるならパン粉でも、と思い開発を始めました」。健康志向というニーズに応えるための開発でもあった。

パン粉は小麦粉に水やイースト、食塩などを混ぜて生地を練り上げ、発酵させる。それを焼いて粉砕して作る。焼き方によってパン粉は大きく分けて2種類ある。オーブンに入れてガス火で焼く「焙焼式」と、電気を通して加熱する「電極式」だ。

サヌキフーズは両方とも作る。パン粉の製造業界では、焙焼パン粉よりも電極パン粉の方が油切れが良いとされており、小谷さんは小麦粉に様々な材料を混ぜて、電極パン粉を作り、油切れの良いものを探した。

2015年から香川大学と共同で研究を開始。食物繊維や米粉、竹の粉末などを混ぜると、油切れは良いが、パン粉が硬くなりすぎてしまう。そこで小麦粉の一部を裸麦粉に置き換えてみた。するとザクザクとした食感と香ばしい風味で、特に油切れが良かったため、理化学研究所の大型放射光施設「SPring‐8(スプリングエイト)」で詳細な構造を観察することに。

小谷さんは焙焼パン粉と電極パン粉、裸麦を混ぜた電極パン粉の3種類を油で揚げて観察。パン粉は一般的にスポンジ状で内部に多くの空孔(穴)が存在している。SPring‐8で見ると、裸麦含有パン粉は他の二つに比べて油が入り込んでいない空孔が多かった。さらに裸麦含有パン粉は、空孔の入り口が微細な凹凸表面で覆われていることも分かった。

「パン粉内部に空孔が多いこと、そして空孔の入り口が凹凸表面に覆われていることが油切れの良さに影響していると予想。凹凸表面が空孔への油の侵入を防いでいると考え、パン粉内部の構造を変えるにはどうすれば良いか、さらに研究を進めました」。小麦粉にトウモロコシ由来のでんぷんを混ぜたところ、裸麦含有パン粉と同等に油の吸収を20~30%抑え、食感も良かった。裸麦を使うよりコストも抑えられる。

「でんぷんを添加した油切れの良いパン粉」は、18年12月に「三豊市ものづくり大賞」で優秀賞を受賞した。小谷さんは「はじめのうちは、食物繊維など機能性のある材料を使うことが大事だと考え、『何を混ぜるか』に重点を置いていました。研究の結果『構造をいかに変えるか』に行きつき、長年の疑問を解明することができました。油切れの良いパン粉として商品化できたので、今後は営業に力を入れていきたい」と話している。
油で揚げた裸麦含有パン粉をSPring‐8で観察した画像

油で揚げた裸麦含有パン粉をSPring‐8で観察した画像

株式会社サヌキフーズ

住所
香川県三豊市山本町大野2951-9
代表電話番号
0875-63-2994
事業内容
パン粉の製造・販売
地図
確認日
2019.11.29

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