ものづくりを支える

三菱電機 四国支社長 石綿規雄さん

Interview

2019.12.19

三菱の創業者・岩崎弥太郎の生家跡を訪ねて

三菱の創業者・岩崎弥太郎の生家跡を訪ねて

「海のない埼玉県で育ったので、職場から少し歩くと海が見える環境は、ぜいたくな気分になります」。春、店頭に並ぶ鰆の刺身をはじめ瀬戸内の魚を堪能し、週末は夫婦で観光やうどん店めぐりも。自然が美しい四国を楽しみたいという。

赴任前は営業としてキャリアを重ねた。担当したのは、工場設備を自動化するためのシステムや機器。「一つの機種でも品目が非常に多くて、製品知識を習得するのに苦労しました」

扱うものは、家電などと違い一般消費者が生活の中で目にする機会はほとんどない。それでも、海外の旅先などで担当した自動車メーカーの車が走っているのを見ると「あの工場のあの製造ラインでつくった車だ、と思うんです」。ほんの少しでも自分が携わった仕事が、ものづくりを支えていると思うと嬉しくもあり、不思議な感覚になるという。

営業を続けてきた中で、大切にしているのは話を聞くこと。お客さんの思いをどれだけ理解して的確な答えが出せるか、ニーズをきちんとエンジニアに伝えることができるか。「趣味の話など仕事以外の話を聞くことも大事です。人柄を知って、長く付き合える信頼関係を築いていくよう心掛けていました」

夢中になった音楽

自身の趣味は、音楽。中学の時、まずビートルズが好きになって、イギリスのロックを聴くように。ポール・マッカートニーが来日するコンサートのチケットを何時間も並んで手に入れたものの、公演中止に。払い戻しのお金でレインボーのコンサートを武道館に観に行ってから、どんどん音楽に夢中になっていったという。

少しずつ集めたレコードも、社会人になるころには1000枚以上に。「引っ越しの時に大変で。少しずつ処分して、今はそれほど残っていないんです」。最近は、昔ほど音楽を聞くこともなくなったが、去年、名古屋でのポール・マッカートニーのコンサートには出かけた。「中止になったあの時の念願が、38年越しにかないました」
職場内外で同じ趣味をもつ仲間ができるなど、音楽は日々を豊かにしてくれたという。

四国のニーズをとらえて

協賛している「まんが甲子園」で

協賛している「まんが甲子園」で

現在、支社の代表として四国全域で電力事業、社会インフラ事業、ビル事業、ファクトリーオートメーション事業など、地域の発展に貢献する取り組みを推進している。「事業を通じて四国の社会課題を解決するために何ができるか」、地域の企業や行政など多くの人達と議論し、交流を深めている。「地域はさまざまな企業や人によって成り立っていることを改めて実感しました。ずっと専門的な仕事をしてきた自分にとって、地域全体を考えるという新たな視点がもてました」

ネットワークを広げ、他社と連携した事業にも挑戦したいという。四国での潜在ニーズが高いと思ったのは「農業」。農業のIoT化で作業を効率化して生産性を上げる。スマート農業の分野で何か役に立てることがあるのではないかと考えている。

「今は試行錯誤の段階で、ビジネスにするにはまだまだ。でも、四国での取り組みがヒントになって、新事業が生まれるかもしれません。そう考えると、面白いチャレンジだと思います」

石川恭子

石綿規雄 | いしわた のりお

略歴
1963年 埼玉県生まれ
1982年 埼玉県立浦和西高校卒業
1987年 明治大学経営学部 卒業
    三菱電機株式会社 入社
2005年 中部支社豊田支店機器課長
2008年 中部支社機器第二部サーボ・ロボットシステム課長
2011年 九州支社FAシステム部駆動機器課長
2013年 神奈川支社FAシステム部長
2015年 中部支社機器第二部長
2019年 四国支社支社長

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