黒板を場所と世代問わないコミュニケーションツールに

いわま黒板製作所 代表取締役 角野 幸治さん

Interview

2019.12.19

本社敷地内に設置した黒板には「ミライノガッコウカンパニー」の  キャラクター・ミライノくんが

本社敷地内に設置した黒板には「ミライノガッコウカンパニー」の

キャラクター・ミライノくんが

善通寺市のまちなかにチョークや絵の具で彩られた「黒板アート」が現れた。瀬戸内国際芸術祭2019の連携イベントとして、市の観光協会が9~11月に開催した「Zentsuji Black Board Art 2019」だ。黒板を提供したのは香川県内で唯一の黒板専業メーカーであるいわま黒板製作所(善通寺市)。

創業は1936年。角野幸治さん(52)で5代目になる。主に公共施設向けに、黒板やホワイトボード、掲示板などを製造・販売し取り付けまで行う。職人が一枚一枚塗装や水研ぎをする「研ぎ出し黒板」など昔ながらの黒板作りを続けながら、新しい商品の開発にも余念がない。
「Zentsuji Black Board Art 2019」の作品の一つ。  善通寺第一高校など県内の生徒・学生が制作した

「Zentsuji Black Board Art 2019」の作品の一つ。

善通寺第一高校など県内の生徒・学生が制作した

角野さんは大学卒業後、川鉄商事(現JFE商事)に入社。大手企業の業務システムや人材育成などを学び、94年に家業であるいわま黒板製作所に入った。当時、業界団体に所属していた黒板メーカーは60社以上あったが、今では30数社に。廃業したり、事業を多角化したりする会社が多い中、いわま黒板製作所は専業で続けてきた。

「先代の時にBtoBのビジネスモデルを確立できたからだと思います」。同業者に向けて半製品や原材料の卸売りもする。トップダウンで会社を切り盛りしていた父とは意見が合わず、会社で大ゲンカしたことも。だが、経営者としてのノウハウを教えてもらったことを今はとても感謝している。入社から4年後の98年、父の死去に伴い代表取締役に就いた。

角野さんが取り組んだのは、組織づくりだ。社内の体制、各自の役割、仕事の流れを明確にした。整理・整頓・清掃の「3S」活動にも力を入れる。工場での資材や工具の保管は徹底して片付け。昨年からは、月に一度社外の講師を招いて研修を実施。毎月、改善点を確認することで、整頓された状態を保つ。

今年からは善通寺市への定住を促進する手当の支給を始めた。月5千円の通勤手当に加えて、善通寺市在住ならさらに5千円を支給する。社員に地元のことを知ってほしいという思いもある。「善通寺には通勤しているだけで、市外・県外のお客様に善通寺がどんなまちなのか説明できないのは寂しい」
女性チームが試作中の新商品

女性チームが試作中の新商品

人口が減ると、当然学校も減る。「黒板の新規購入や交換は、放っておけばなくなってしまう。今年から『ミライノガッコウカンパニー』というブランド名を前面に打ち出して『学校のことなら何でもおまかせ』というご提案をお客様にしています」。教育のICT化に対応しプロジェクターを備えた電子黒板のほか、学校に必要な防災用品や室名札などの備品も販売する。

「これまでは黒板やホワイトボードをいかに売るかを考えていましたが、今はコミュニケーションツールとして学校や企業、家庭などいろんな場面で役立ててもらいたいと思っています」。商品開発も従来とは視点を変えるために、社内に女性だけのチームを作った。家庭で使える小さな黒板やカラフルなボードなど、新しい商品アイデアを練っているところだ。
自社工場で黒板を製作

自社工場で黒板を製作

鎌田 佳子

角野 幸治|すみの こうじ

略歴
1967年 多度津町産まれ
1986年 善通寺第一高校 卒業
1990年 明治学院大学経済学部 卒業
     川鉄商事株式会社 入社
1994年 株式会社いわま黒板製作所 入社
1998年 代表取締役 就任
2011年 善通寺市教育委員 就任(現在3期目)

株式会社いわま黒板製作所

住所
香川県善通寺市与北町1131
代表電話番号
0877-62-1631
設立
創業1936年
社員数
18名(令和3年5月1日現在)
事業内容
1.黒板・ホワイトボード・掲示板の製造・施工・販売
2.電子黒板・造作家具等内装備品の設置・販売など
ブランドネーム
ミライノガッコウカンパニー
地図
URL
http://www.iwamakokuban.co.jp/
確認日
2022.11.17

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