「百万一心」で いい商品を届ける

YKK AP四国支社 支社長 瀬戸 伸介さん

Interview

2019.02.21

子どものころに見た、アメリカのホームドラマに出てきた家は、広いリビングに大きな窓がついていた。「部屋がすごく明るくていいなと思いました。10数年後に『窓』に関係のある仕事をすることになるなんて感慨深いです」

YKKAPは、住宅やビルの窓などを製造・販売しているメーカー。全国24の自社工場のうち4大製造所の一つである四国製造所(宇多津町)は1972年から稼働している。

瀬戸さんは入社後ずっと営業職としてキャリアを積んできた。仕事をする上で大切にしているのはチームワークだ。世の中のニーズをつかんでそれを営業、開発・製造部門がともに実現する。さらに、取り扱う流通店と力を合わせ、その先のハウスメーカーや工務店、設計事務所に採用してもらわないと、いくらいい商品でもお客さんに届かない。「いろいろな人の力を集め、つないでいくことが営業の役割。仕事のおもしろさもそこにあると思います」

心に留めている言葉は「百万一心」。戦国武将・毛利元就の言葉で「百」と「万」をそれぞれ分解すると「一日」と「一力」となり、「日を同じうにし、力を同じうにし、心を同じうにする」という意味になる。「一人で限りがあることも、多くの力を合わせれば物事は前に進んでいくと思います」

歴史ある街に憧れて

好きなランニングコースは 赤灯台までの道

好きなランニングコースは
赤灯台までの道

日本初の大規模な住宅地である大阪の「千里ニュータウン」で育った。「計画的に作られた街で、30代の家族が住民の中心でした。その頃から、いろんな年代の人がいて、歴史や文化が受け継がれる昔ながらの街に興味がありました」

歴史ある街に憧れ、大学は京都へ。郷土史研究会に入り毎週末、仲間と街を歩いた。事前に食文化や祭りのことなどを調べて訪ね歩く。借景庭園で有名な円通寺、「悟りの窓、迷いの窓」の源光庵・・・・・・本で読んだだけではモノクロだった景色が、実際に訪れると色を帯びてくる。人々の営みを肌で感じることが面白かった。

転勤先でも街歩きは続けている。「四国に来てさらに楽しくなりました。最近は歩くだけでは物足りなくなって、ランニングを始めたんです」。目標は週に1度10キロ走ること。最初は歩くことが多かったが、だんだん走れるようになりダイエットにつながると、ますますやる気が出てきた。「来年は丸亀ハーフマラソンに出場したいですね」

窓のキーワードは「健康」

高松市林町のショールーム

高松市林町のショールーム

「人生の基本は家族で、家族が過ごす場所が住まい。その住まいが明るくて暖かい場所であるために、窓の役割は大きいと思います」。今、窓を語る上で「健康」というキーワードが欠かせないという。

香川は、入浴時に起きることが多いヒートショック(注1)の発生率が全国的にも高い(注2)。「意外かもしれませんが北海道は少ない。寒さ対策ができているからです。逆に香川は暖かいため、寒さに対する意識がまだ低いのかもしれません」

心からくつろげる住まいには何が必要なのか。断熱性の高い窓にすれば事故のリスクは下がる。既存の窓との交換もすぐにできる。そういう商品の魅力を、ショールームやセミナー、日ごろの営業活動などを通して多くの人に発信していきたいという。

「2018年からは四国製造所で、今最も力を入れている商品、樹脂窓の製造も始まりました。今までYKKAPを育ててくださった地元の人たちにも、地元で製造された商品を使っていただきたいと思います」

注1=暖かい部屋から寒い浴室、熱い浴槽と移動して 温度が急激に変化すると、血圧が大きく変動して心疾患、脳血管疾患などをおこすこと

注2=「都道府県別にみた高齢者1万人あたりCPA(入浴中心肺停止状態)件数」。2014年、地方独立行政 法人東京都健康長寿医療センター研究所発表

石川 恭子

瀬戸 伸介 | せと しんすけ

1965年 大阪府生まれ
1983年 大阪府立東豊中高校
     (現・千里星雲高校)卒業
1987年 京都産業大学法学部 卒業
     吉田工業株式会社
     (現・YKK株式会社)入社
1988年 北大阪YKK産業本店
2000年 YKK AP大阪 枚方支店 支店長
2008年 中国統括支店 松江支店 支店長
2009年 中国統括支店 広島支店 支店長
2014年 関西支社副支社長
2018年 四国支社支社長

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