予測学

著:大平 徹/新潮社

column

2020.10.01

AI

IT

「予測学」といっても、これはたいそうな体系や理論をもった学問という訳ではありませんが、出版元の新潮社は以前にも「渋滞学」という本を出しており、結構多くの読者に迎えられました。

予測というものは私たちの日常に幅広く密接に関係しています。予測に関連する言葉は、予知、予想、予言、予報、推測といったものが身近でよく使われます。さらには最近よく使われる、忖度という言葉などもこれに関連しているのではないでしょうか。   

予測で思い出すのは、つい先だって大きな台風が来ましたがその際の予報は、「私たちがかつて経験したことのない暴風雨に見舞われる」というものでしたが、幸運にもその予想ははずれました。もちろん予測は天気だけではありません。地震や津波、火山の噴火などの自然現象だけでなく、この本には新型コロナの拡大の予測、政治と世論調査による予測、株の予測、将棋の次の一手の予測とAI、さらには数学の予想。たとえば「ゴールドバッハの予想」は、「2より大きいすべての偶数は2つの素数の和であらわされる」というものですがまだ証明されていませんので定理ではなく予想です。

人が予測しようとするのは、それによって良い結果を求めたいということですが、往々にして予測自体は良し悪しの評価はついておらず、いくつかの選択肢を提供してくれるだけだと著者はいいます。そして「これほどに人間が予測を追求するのは、人の一生ほど予測し難いものはない、という我々の無意識の感覚の存在によるのかもしれない」と最後に述べます。

山下 郁夫

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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