増加基調維持もコロナ禍以降ペース鈍化

「タピオカ屋さん」動向調査 東京商工リサーチ

Research

2020.11.05

ブームと不況が不思議と重なる「タピオカ」。今回は息の長いブームが続くかと思われた矢先に、新型コロナウイルス感染拡大に襲われた。「タピオカ屋さん」の店舗前には若者が列をなし、片手に容器を持ち街中を歩くシーンがすっかりおなじみになった。そんな「タピオカ」ブームのピークアウトも囁かれる中、タピオカを扱う企業数は1年前の2倍に増えていることがわかった。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象約390万社)から、営業種目や業績変動要因(主要分)に「タピオカ」の記載があるものを抽出、分析した。

新設法人 4月以降激減

2020年8月末のタピオカ関連企業は125社を数えた。企業数は19年8月から65社増。特に、19年9月から20年3月の期間では52社が増加し、このうち半数近い24社(構成比46.1%)は新規法人だった。だが、コロナ禍の4月以降は13社の増加にとどまった。13社のうち、新設法人はわずか2社(同15.3%)に激減。新型コロナによる外出自粛、店舗休業などで萎縮する他の飲食店と同様、タピオカ関連企業も影響が大きいことがわかる。

「タピオカ主業」が増加

関連企業125社を設立年別でみると、19年以降が45社(構成比36.0%)を占めた。19年4月から8月までの5カ月間に増加した28社のうち、新設法人は14.2%(4社)にとどまり、8割以上が異業種からの参入だった。一方、19年9月以降に増加した65社のうち、新設法人は38.4%(25社)と比率は2.7倍に上昇している。19年前半までは異業種からの参入が中心だったものの、19年夏以降は「タピオカ」を事業の主目的に設立された企業が多かった。

1,000万円未満が7割超

規模別では、個人企業を含む資本金1,000万円未満の企業が73.6%(92社)を占めた。また、資本金100万円未満の企業の70.0%(10社中7社)は、19年以降の設立となっている。「タピオカ屋さん」は比較的少ない初期投資で参入できることも、タピオカ関連企業が急増した要因の一つとみられる。

タピオカブームは偶然にも、大不況と時期が重なる。第1次ブームの90年代はバブル崩壊、第2次ブームの08年はリーマン・ショック、そして第3次ブームは新型コロナウイルス感染拡大に重なった。

ブームにも乗って19年4月から20年8月までのわずか1年半で、タピオカ関連企業数は約4倍に増加した。街のあちこちで見かける「タピオカ屋さん」だが、コロナ禍で消費者行動が変化する中、今後どう消費者にアプローチしていくのか真価が問われている。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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