
そのためにまず必要だと考えているのが、インフラの整備だ。8の字ネットワークの完成や、国際的な視点をもった港湾など、基盤を整備することで地域経済の発展にもつながる。「インフラとは、文明をつくるものだと思います。太古の『世界4大文明』といわれた地域で土木技術が発達していたように、社会が変わるためにインフラは欠かせません」
同時にインフラは、防災時にも重要な役割を果たす。防波堤や、緊急車両の通行・物資輸送にも必要な道路。被害を最小限に抑えるために施設を整備するとともに、老朽化対策も視野に入れている。「今後、修繕が必要な施設が増えてくるが、市町村には技術職系職員が少ないことも課題の一つ。管轄する道路、河川などの整備、維持管理、防災などの業務を手掛ける整備局として、技術面でも支援していきたい」
震災時の対応を経験して

就任会見の様子
緊急車両の通行や物資の輸送に欠かせない阪神高速の一部が倒壊。代わりにどのルートを使うか、どう復興させるのか、予算の調整は……。数カ月ほど泊まり込みでの業務が続いたが、「あれほど災害対応に集中したのは貴重な経験でした。自分が現場の責任者だったらどうふるまうべきか、考える機会にもなりました」
防災について感じているのは、インフラだけでは対応できないということ。「職員も含めて災害時はどう行動すべきか常に考え、自治体とも連携して訓練しておかなければならない。何度も繰り返して」
その上で、地域の人にも積極的に情報を発信していきたいと考えている。「技術職の人間は『いいものをつくればわかってくれるだろう』という意識があるかもしれません。これからは、『なぜこの事業をやるのか』『私たちの施策は』などについて、日ごろから伝えるべきだと思います」。そうすることが、災害時にも生きてくるという。
「多・長・根」が大切

「日下川新規放水路工事現場」(高知県)を視察
「職員を含め若い世代には、専門分野以外の幅広い知識を勉強して、同じ会社、業界以外の人とも交流を深めてほしいと思います」
石川恭子
丹羽 克彦 | にわ かつひこ
- 略歴
- 1964年 東京都生まれ
1990年 早稲田大学大学院理工学研究科 修了
建設省入省
1996年 四国地方建設局土佐国道工事事務所調査第二課長
1998年 四国地方建設局企画部企画課長
2005年 近畿地方整備局京都国道事務所長
2009年 国土交通省道路局国道・防災課国道事業調整官
2017年 関東地方整備局道路部長
2019年 国土交通省道路局企画課長
2020年 四国地方整備局長
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