6年連続200件割れの低水準

2020年度 四国地区企業倒産状況 東京商工リサーチ

Research

2021.05.07

2020年度の四国地区企業倒産状況(負債総額1,000万円以上、内整理を含む)は、件数136件、負債総額272億6,500万円。件数は前年度比63件減、6年連続200件割れの低水準。過去10年との比較で136件は9番目。負債総額は前年度比24億100万円の減、過去10年との比較で最少だった。

【特徴】
①件数は前年度比63件減となり、6年連続200件割れ
②負債総額は、小規模倒産主体に加え、件数減も相俟って前年度比24億100万円減
③件数は全県で減少、負債総額は高知、徳島で増加
④負債総額最大は、㈱大見屋の22億円

件数は全県で減少

香川は、件数30件で前年度比33件減(52.4%減)、負債総額は70億6,100万円で前年度比15億9,100万円減(18.4%減)。愛媛は、件数40件で前年度比7件減(14.9%減)、負債総額は79億5,800万円で前年度比22億8,100万円減(22.3%減)。高知は、件数28件で前年度比12件減(30.0%減)、負債総額は39億6,500万円で前年度比9億1,800万円増(30.1%増)。徳島は、件数38件で前年度比11件減(22.5%減)、負債総額は82億8,100万円で前年度比5億5,300万円増(7.2%増)となった。

四国の企業倒産件数は、2020年5月から2021年3月まで11カ月連続で前年同月比より減少している。

販売不振が88件で最多

原因別では、販売不振が88件で最多、以下、既往のシワ寄せ17件、放漫経営9件、過小資本8件、他社倒産の余波6件、その他5件、信用性低下3件となった。「不況型」倒産は105件、構成比77.2%だった。販売不振が全体の64.7%を占めており、また、「不況型」倒産の構成比も高水準で定着している。

件数は製造業が最多

全10産業のうち9産業で倒産が発生した。製造業が29件で最多、以下、サービス業他27件、小売業25件、卸売業21件、建設業13件、農・林・漁・鉱業8件、運輸業6件、不動産業5件、情報通信業2件だった。

近隣のみに営業エリアを限定している製造業、サービス業他、小売業、卸売業の倒産が目立った。ただ、営業エリアを限定しているだけに事業規模も大型のものは少なく、全般的に倒産は小型化している。加えて、新型コロナウイルス関連の無担保無利子融資、助成金、給付金等を得た企業が多く、倒産件数は減少している。

地方経済冷え込みが浮き彫り

負債総額最大は、(株)大見屋(宇和島市、スーパーマーケット経営、販売不振)の22億円。前年度最大は(株)山木産業(南宇和郡、魚類養殖・他社倒産の余波)の24億5,000万円で、負債総額最大は2年連続で愛媛県南予地区から発生、地方経済冷え込みの影響が浮き彫りとなったものと見られる。

今後の見通し

2020年度の四国地区企業倒産状況において、上半期(4~9月)の倒産件数は前年度比9件減の82件だったのに対し、下半期(10~3月)では前年度比54件減の54件となるなど、各種支援策が行きわたった下半期に大きく倒産件数が減少したことが窺われた。

2021年3月に四国地区内で「新型コロナウイルスに関するアンケート」を実施し、コロナ収束後の懸念で最も多かったのは「需要増加に伴う仕入れコストの上昇」だった。資金繰りに不安を抱えている企業が多いことが窺われ、今後の資金調達力にも格差が広がる可能性が出てきた。

東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 立花正伸

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