課題解決から生まれる差別化 段ボールに代わる紙袋「アレンジバッグ」

シコー

Cha✕Cha

2022.09.15

紙袋にするメリットとは

自社商品を他社と差別化するには、価格だけではなく高い機能や美しいデザイン、アフターサービスなど、独自の付加価値を模索しなければならない。

シコーの「アレンジバッグ」は、クラフト製の大きな紙袋。段ボールに代わる商品として提案することで、顧客に新たなメリットが生まれた。まず、材料費のコストダウン、かさばらないことで保管スペース削減や輸送の効率化ができる。さらに、商品をアレンジバッグに詰める際の自動充てん設備を併せて提案することで、差別化を図った。

顧客の課題にヒントあり

創業当時から大きな紙袋は製造していたが、新たな顧客を開拓するにあたり、トイレットロールを出荷する際に使われる集積段ボールケースの代わりに、紙袋を提案できないか検討。出荷の際に商品を手作業で詰めていることに注目し、大きな紙袋に商品を自動で充てんできる設備を機械メーカーと共同で開発した。この自動充てん設備とアレンジバッグを併せて提案することで、新たな価値を創造。作業の効率化を図りたいと考える顧客のニーズに応えることができた。

顧客は自動充てん設備を導入するコストが必要だが、それを補う経費のコストダウン、組立作業の簡略化といったメリットが大きく、トイレットロールのメーカーの中で、アレンジバッグを採用する顧客が広がっていった。

顧客が増えたことを機に、香川製造部にサイズや用途などに合わせて製造できるアレンジバッグ専用のオリジナル設備も導入した。その結果、古着のリユースを手掛ける企業から、家庭から古着を送る際に使っていた段ボールキットを紙袋にしたいという新たな依頼が寄せられた。コンパクトに折りたためる紙袋は送料が削減でき、受注は順調に伸びていった。

ただ、すべての包材を段ボールから紙袋に――と考えているわけではない。大切にしているのはどんな材質を使うかではなく、どうすれば顧客の課題を解決できるか。中身が発酵するためガスは抜きつつ外気は通さない袋が欲しい、角まで内容物が入らないようにして積載しても袋が破損しないようにしたい……。顧客が今まであきらめていた悩みに対し、ポリエチレン重袋、プラスチックダンボールほか、同社が手掛ける様々な包材の製造技術を駆使しながら、“オモロイ製袋会社”として応えていく。

◆キーワード


差別化

同じカテゴリーに分類される他社製品と比較し、自社ならではの違いを打ち出すこと。機能性、デザイン、顧客サービス、流通チャネルなど、さまざまな方向性がある。同時に、自社製品の優位性を顧客にアピールしていく必要がある。

製品で差別化する場合、機能やデザインのほかに、ユーザーにとって使いやすい製品にして差別化する方法もある。競争力の高い製品をつくることで、価格が高くても売れる状態となり、価格競争から回避できる。


代替品

今ある製品やサービスに匹敵する機能を持つ、既存品以外の製品のこと。例えば、ビールと発泡酒、紙の書籍と電子書籍など、時代の変化により生まれた代替品により選択肢が広がる。代替品への移行が簡単である、機能や利便性が高い場合は既存の商品が代替品に押される可能性が高い。既存品に独自性があれば、代替品の脅威は弱まる。

◆スタッフ・メッセージ

クラフト製の紙袋に印刷する工程を担当しています。鮮明に仕上がるように、インクや版の調整をしています。印刷は1色あたり1つのユニットを使い、2色なら2つの機器を使います。そのため、インクや版をセットする時は、次の色を担当する人の作業しやすさも考えながら進めています。1日に手掛ける印刷物は4~5種類。その準備や印刷物の切り替えがスムーズにできた時は、嬉しいですね。

現在の工程で知識を深めつつ、別の工程についても学んでいきたいと思います。

製造部
大捕孝太さん 
坂出商業高校出身

シコー株式会社 西日本事業部 香川製造部

住所
香川県坂出市昭和町2-6-12
代表電話番号
0877-46-4545
事業内容
大型紙袋、PE重包装袋、プラスチックダンボール、各種産業用包装資材の製造・販売
地図
URL
http://www.siko.co.jp/
確認日
2022.09.15

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