
電力の需給は常に「同時同量」
しかし、電力需要は天候や気温などの様々な要因で時々刻々と変化する。常に需要と供給を一致させるのは至難の業だが、その需給を監視・コントロールし、電力の安定供給を支える中枢といえる施設「中央給電指令所」のシステム開発・更新や、「再生可能エネルギー(以下、再エネ)出力制御システム」を開発したのが四国計測工業だ。
これからのエネルギー施策にも対応

広域機関は全国の需給状況を監視し、必要に応じて各エリアに電力の融通や発電量の増加等を指示する。エリア毎に設けられている中央給電指令所は、天候や気温などの様々な要因で変化する電力需要を予測するとともに、広域機関から連係される情報や指示を踏まえ、需要と供給が「同時同量」となるよう発電所に出力目標値を指令する。この広域機関と中央給電指令所は密接な情報連係が必要であり、広域機関が定めた運用ルールに則り、中央給電指令所のシステムを開発・更新する必要があった。そこで四国計測工業では、運用ルールに基づく詳細な機能仕様や更新手順を顧客と綿密に協議を重ねて取りまとめ、システムの設計・製造・検査を着実に進めた結果、四国エリアの中央給電指令所のシステム更新を、監視・制御などの運用業務に影響を与えることなく、運用開始日までに見事完遂した。
さらに、中央給電指令所の管理下にある「再エネ出力制御システム」を開発し、それに伴い情報連係が必要となる中央給電指令所のシステム更新も手掛けた。2012年7月のFIT(再エネの固定価格買取)制度の施行以降、太陽光などを中心に再エネの導入が急速に進展しており、春・秋などの需要が軽く発電量が需要を上回る特定の期間において、一部の再エネの出力を抑制することにより、再エネの電力系統への接続量が増加でき、年間ではより多くの再エネの発電が可能となる。本システムは、中央給電指令所のシステムから連係される再エネの必要抑制量に応じて、四国エリア内1万数千カ所(取材時点)の発電事業者に対し、前日および当日に自動電話・メール、インターネットで発電出力の抑制指示を配信するようプログラムされている。
天候によって発電量が左右される太陽光発電や風力発電は、導入拡大に伴い電源比率が高くなっていることから、今後もより緻密で精度の高い需給調整が求められる。四国計測工業が開発したシステムは、再エネを無駄なく活用しながら、四国エリア全体の電力の安定供給を支えている。
◆キーワード
周波数

再エネ出力制御

◆スタッフ・メッセージ

村上大さん 観音寺第一高校 出身・写真左
笠井広務さん 多度津高校 出身・写真右
四国計測工業 株式会社
- 住所
- 香川県仲多度郡多度津町南鴨200番地1
- 代表電話番号
- 0877-33-2221(FAX. 0877-33-2210)
- 設立
- 1951年12月
- 社員数
- 799名(2024年3月現在)
- 事業内容
- 自動計測制御装置・情報伝送システムの設計・製作・施工、
電力量計・変成器の製造、計装設備の設計・工事・保守、
産業用自動化・省力化装置の設計・製作、環境分析 他 - 高松オフィス
- 高松市サンポート2番1号 高松シンボルタワー28階
TEL. 087-811-2501/FAX. 087-811-2502 - 資本金
- 4億8000万円(四国電力株式会社の100%子会社)
- 地図
- URL
- https://www.yonkei.co.jp/
- 確認日
- 2024.09.19
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