良さに気付けば好きになる

野菜ソムリエ 川村 章子さん

Interview

2015.06.04

飲食店の開業を支援する株式会社STENZの一角で行われているのは、「野菜でキレイになれる教室be-vege(ビーベジ)」だ。主宰は野菜ソムリエの川村章子さん(40)。参加者の希望に応じて、随時、料理教室を開催している。

教室では季節の野菜を一つ主役にして、4品程度を作る。まずその野菜の歴史や栄養価、選び方などを参加者に知ってもらい、調理を始める。レシピは川村さんが考えたもので、斬新かつ簡単に出来る料理だ。生で食べることが多い野菜を加熱してみるなど、家庭ではなかなか思いつかないような調理法を提案する。

教室の他にも出前講座を実施しており、特に子どもを対象とした講座に力を注ぐ。子どもが野菜ソムリエになって、友達や家族に野菜と果物の魅力を伝える「キッズ野菜ソムリエ」の育成プロジェクトだ。「野菜は我慢して食べるものではありません。良さに気付いて好きになるものです。おいしいから食べたいと思ってもらいたい」
以前はキャビンアテンダントとして働き、関西国際空港をベースに国内外を飛び回っていた。その頃から食には興味があったという。国際線勤務では、世界各地でいろいろなものを食べた。15年ほど前、イタリアで食べたルッコラに「ピリッと辛いこの小さな葉は何だろう」と感動。アジア圏で食べられているカイランという中国野菜、タイで大量に消費されるパクチーなど、当時日本では出合ったことのない野菜とその食べ方を知った。

「思えば幼い時から旬のおいしい野菜を食べていましたね」。大阪の実家では、母が家庭菜園で育てた野菜が食卓に並んでいた。そんなおいしくて感動的な野菜の記憶が、知らず知らずのうちに心に刻まれていたのかもしれない。

2000年に結婚し、大阪と夫の職場がある愛媛での生活が始まった。出産や夫の香川への転勤を経て、大阪、高松、滞在先を行き来するせわしない日々を送った。家族と過ごす時間を大切にしたいと09年に退職。家族のために食の勉強をしようと挑戦したのが、野菜ソムリエだった。

資格を取得すると、知人から野菜や料理について尋ねられることが多くなった。家族のために得た知識だけれど、多くの人の役に立てるのでは―。そう思い始めた。

地元でとれた野菜の魅力や食べ方を知ってほしいという思いも原動力になった。香川に来たばかりの頃、スーパーマーケットで初めて「まんば」を見た。食べ方を知りたくて近くにいた女性に聞いてみると、分からないという答えが返ってきた。その体験がずっと引っかかっていたのだ。
川村さんが好きな野菜はユリ根。栽培に6年かかると言われている。「疲れた時に食べたくなります。時間をかけて大切に育てられたものだと知れば、野菜を見る目も変わりますよ」

生産者と親しくなると、どういう苦労があって野菜が店頭に並んでいるかを知ることが出来た。その野菜を調理する料理人にも思いがある。川村さんは生産者、料理人、生活者の懸け橋になりたいという。「家庭や飲食店で、旬の野菜や果物を満喫してもらえるようお手伝いをしたい。子どもたちが野菜に触れて笑顔になる、そんな機会をもっとつくりたいですね」

川村さんにとって、野菜は自分を励ましてくれるもの。だから、食べたら元気になれると感じている。「香川は旬の野菜が身近で作られていて、それを目で見て気軽に買える、恵まれた環境があります。香川の野菜のおいしさを県内外問わず、多くの人に伝えたい」

川村 章子 | かわむら あきこ

1975年3月 大阪府生まれ
1997年3月 武庫川女子大学英米文学科 卒業
1997年4月 株式会社JALプラス 入社
1997年10月 全日本空輸株式会社 入社
2009年12月 全日本空輸株式会社 退職
2012年3月 個人事業be-vege 開業
2014年6月 株式会社STENZ役員として会社設立
      日本野菜ソムリエ協会 地域校高松教室の講師としても活動中
写真
川村 章子 | かわむら あきこ

野菜でキレイになれる教室be-vege

所在地
高松市松島町6−6 株式会社STENZ内
TEL
070-5512-3240
事業の概要
野菜果物の料理教室と食育活動、レシピ提案
同所でジュニア野菜ソムリエの資格取得講座も開催
確認日
2018.01.04

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