踊り続けて60年

日本フォークダンス連盟 香川県支部長 京谷 敏子さん

Interview

2015.10.01

「今日はスロバキアです」と衣装の紹介をしてくれた京谷敏子さん(79)。白くふんわり広がるブラウスとスカートに、色鮮やかなベストを身に付けている。周りを見渡すと、華やかなスカートの裾が翻る。思わず「かわいい」と言ってしまう。

「ハンガリー、メキシコ・・・。皆さん、思い思いの衣装を身に付けて踊っているんですよ」。練習メニューには、ナリノ(トルコ北東部)、ポロネーズ・ウロチスティ(ポーランド)といった言葉が並んでいる。

フォークダンスと言えば、マイム・マイム、オクラホマ・ミキサーなど手をつなぎ輪になって踊るものという印象が強いかもしれないが、そもそもは民俗舞踊を指す。日本フォークダンス連盟では、世界各国・各地域で生まれ踊り継がれてきたものや、カップルダンスやレクリエーションとしてアレンジされたものもフォークダンスの種目としている。

いわゆる「フォークダンス」は戦後日本に普及し、県内では1949年に初めて講習会が開催されたそうだ。20歳の時にフォークダンスと出合った京谷さん。踊り続けて約60年になる。初めて参加した時の感動は、今でも忘れられない。友達に誘われて、現在の高松市立中央公園の辺りにあったかまぼこ形の体育館に出掛けた。体育館の前には自転車が所狭しと並び、中に入ると何百人もの男女がフォークダンスを踊っていた。

見たことのない景色に「こんな世界があるんだ」と驚いた。上手なパートナーのリードで、初めてにしてはうまく踊れた。楽しくて夢中になった。「その時のパートナーの名前や踊った曲は今でも覚えています。上手でしたね」

夫の弘さん(79)との出会いもフォークダンスが縁になった。「食事を用意してくれたり、大会に出掛ける時はいつも見送ってくれたり、夫の母がとても協力的でした。多くの人の支えがあって、これまで続けてこられましたね」。夫婦そろっての日本フォークダンス連盟一級公認指導者は、全国的にも珍しい。

高松の歴史も、フォークダンスの趨勢も見てきた京谷さん。今も現役で、難しそうなステップを見事な足さばきでこなしていく。精力的に海外視察にも赴き、昨年7月にはエストニア、今年9月にはアメリカを訪れた。
「自分一人で踊ったんじゃ楽しくないでしょう」。顔を見合って手を繋いで踊る。それがフォークダンスの楽しいところ。「出会い、触れ合い、話し合いとも言われていますよ」

新しいことにも挑戦してきた。氷上でフォークダンスを踊る「スケートフォークダンス」はスピード感と動きの大きさが特徴だ。京谷さん自ら、スケート用に「こんぴら船々」と「一合まいた」をアレンジしていろいろなイベントで披露した。

高松冬のまつりにも、長年参加した。「イルミネーションの下で踊ったらどんなに美しく楽しいだろうと思ったのが始まり。20年以上参加させていただきました」

自分が持っていないものを人からたくさん与えてもらえる。それがフォークダンス歴60年の宝だと言う。「皆さんに、特に若い人に踊ってほしい。家でパソコンの画面に向かうよりも、体を動かす方が楽しいと思いますよ」

毎年8月は四国4県の支部が集まって講習会を開催している。今年は香川が会場となり、約150人が技に磨きをかけた。香川県支部では、11月に単独の交流会を実施。支部に所属している各サークルが日ごろの成果を披露する。

香川県支部には311人が所属しているが、中高年の女性がほとんど。全国的にも同じ傾向で、フォークダンス人口の減少と高齢化が悩みの種。次の世代にバトンを渡す、それが京谷さんの願いだ。

京谷 敏子 | きょうたに としこ

1935年12月 高松市生まれ
1955年 高松市フォークダンス協会 入会
1960年 香川県フォークダンス連盟 理事
1981年 日本フォークダンス連盟一級公認指導者
    フォークダンス舞夢 会長
1992年 高松市フォークダンス協会 理事長
1993年 香川県女子体育連盟 理事
1994年 日本フォークダンス連盟香川県支部 支部長
2000年 日本フォークダンス連盟 理事
2002年 日本フォークダンス連盟 参与
2013年 高松市スポーツ振興事業団 理事
写真
京谷 敏子 | きょうたに としこ

社団法人日本フォークダンス連盟香川県支部

事務局
高松市浜ノ町60-55-622
TEL
087-822-5459
確認日
2018.01.04

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